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リスクリワード比率とは?
リスクリワード比率は、トレードのリスクとリターンのバランスを示す指標です。1回のトレードあたりの利益とそれに対してどれくらいの損失が発生したかの割合を示します。
リスクリワード比率を活用することは、トレード戦略の有効性の確認やリスク管理、感情的にトレードしないなど様々なメリットがあります。
リスクリワード比率さえ守っていれば致命的な資金減少のリスクを大幅に減らすと言われるほど重要です。
リスクリワードの計算方法
リスクリワード比率は、過去のトレード結果を評価する場合と、これから行うトレードのルールを決定する場合の両方で活用することができます。それぞれの計算式は以下の通りです。
リスクリワード比率の計算式
- 過去のトレードを評価する場合= 勝ちトレードの平均利益÷負けトレードの平均損失
- これから行うトレードの場合=利益確定ラインまでの値幅÷損切ラインまでの値幅
過去のトレードを評価する場合、1トレード当たりの損益の比率がわかります。
これから行うトレードの場合は、損切りラインまでの値幅(リスク)を1と設定した場合に、利確ラインまでの値幅(リワード)がリスクの何倍になるかを示します。
例えば、リスクリワード比が1:2であれば、利確ラインまでの幅が損切りラインまでの幅が2倍ということです。
なぜリスクリワード比率が重要なのか?
リスクリワード比率が重要なのは、資金管理、計画的なトレードをする土台となるからです。具体的な理由を解説します。
損大利小を防ぎ、計画的なトレードを可能にする
FXトレードで継続的に利益を上げていくためには、シンプルに言えば、勝ちトレードで得た合計利益が、負けトレードで発生した合計損失を上回る必要があります。しかし、多くのトレーダーは、小さな利益で早めに決済する一方で、損失を拡大させてしまう「損大利小」に陥りがちです。
これは、事前に明確な利益目標や損切りラインを設定せず、相場の状況や感情に流されてトレードを行うことに起因することが多い問題です。
リスクリワード比率を設定することで、目標利益や損切の基準が明確になり、計画的なトレードが可能になります。
リスクリワード比率は勝率と一緒に考えることが重要です。たとえトレードの勝率がそれほど高くなくても、リスクリワード比率が良ければ最終的にトータルで利益を出すことが可能になります。
無駄なトレードを減らせる
リスクリワード比率を設定することで、利益が狙えない無計画なトレードを避けられることもメリットです。設定したリスクリワード比率を満たさないトレードを行わないことでトレードの精度が上がり成績が向上します。
例えば1回の取引で許容できる損失額を50pipsとした場合、リスクリワード比率1:2なら利益目標は100pips、1:3なら150pipsとなり、それ以上の利益が狙えない場合は見送るといった判断ができます。
感情に左右されずに取引できる
リスクリワード比率に基づいて取引することで、感情的な取引が減ることもメリットです。
「目標利益額に達したら利確する」「損失額が設定額を超えたら損切りする」といったルールを決めておくことで、感情的な欲や恐れ、期待、焦りに振り回されず、計画的にトレードすることができるようになります。
一方で、ルールがなトレードは感情に流されやすくなります。例えば、「円安だから必ず上がる」といった期待でドル円を買い、一時的に逆行して含み損が出た際に、冷静さを失って損失を拡大させるといったことがあります。
FXのリスクリワード比率と勝率の関係
FXトレードで継続的に利益を上げていくためには、「勝率」と「リスクリワード比率」のバランスを理解することが非常に重要です。具体的に解説していきます。
勝率とリスクリワード比率の関係
この関係性を理解するために欠かせないのが、「期待値」という考え方です。期待値は、一回のトレードで得られる平均の利益のことです。勝率とリスクリワード比率で計算できます。計算式は以下の通りです。
FXトレードの期待値
期待値 = (勝率 × 平均利益額) - (敗率 × 平均損失額)
この計算式からも分かるように、期待値は「勝率」と「平均利益額と平均損失額によるリスクリワード比率」のバランスによって決まります。
また、トレードの期待値がゼロとなる「損益分岐点」も分かります。リスクリワード比率ごとの損益分岐点となる勝率は以下の通りです。
リスクリワードごとの損益分岐点となる勝率
リスクリワード比率 | 損益分岐点となる勝率 |
1:1 | 50.0% |
1:2 | 33.3% |
1:3 | 25.0% |
1:4 | 20.0% |
1:5 | 16.7% |
例えば、リスクリワード比率が1:1の場合、勝った時の利益と負けた時の損失が同額なので、勝ちと負けの回数が同じ(勝率50%)であれば損益はゼロになります。
リスクリワード比率が1:2の場合は、33.3%が損益分岐店になるので、1回勝てば2回負けた分の損失を取り戻しイーブンになります。
ここからは、具体的なトレード例を通じて、リスクリワード比率と勝率が損益にどう影響するかを見ていきましょう。
リスクリワード比率が低い場合の勝率
リスクリワード比率が低い場合、利益を上げるためには高い勝率が必要になります。以下は、リスクリワード比1:1の場合の勝率ごとの損益額の例です。
リスクリワード比率1:1の場合の損益(トレード回数は10回)
トレード回数 | 勝率 | 合計利益 (円) | 合計損失 (円) | 最終損益 (円) |
10 | 40% (4勝6敗) | +4,000 | -6,000 | -2,000 |
10 | 50% (5勝5敗) | +5,000 | -5,000 | 0 |
10 | 60% (6勝4敗) | +6,000 | -4,000 | +2,000 |
10 | 70% (7勝3敗) | +7,000 | -3,000 | +4,000 |
勝率40% (4勝6敗) | |
合計利益 (円) | +4,000 |
合計損失 (円) | -6,000 |
最終損益 (円) | -2,000 |
勝率50% (5勝5敗) | |
合計利益 (円) | +5,000 |
合計損失 (円) | -5,000 |
最終損益 (円) | 0 |
勝率60% (6勝4敗) | |
合計利益 (円) | +6,000 |
合計損失 (円) | -4,000 |
最終損益 (円) | +2,000 |
勝率70% (7勝3敗) | |
合計利益 (円) | +7,000 |
合計損失 (円) | -3,000 |
最終損益 (円) | +4,000 |
リスクリワード比率が1:1の場合、勝率が50%以上でなければ利益を上げることができません。
また、以下のようにリスクリワード比率が1:0.5の場合、つまり1回の利益が1回の損失の半分しかない場合、勝率は66.7%以上が必要です。
リスクリワード比率1:0.5の場合の損益(トレード回数は10回)
トレード回数 | 勝率 | 合計利益 (円) | 合計損失 (円) | 最終損益 (円) |
10 | 40% (4勝6敗) | +2,000 | -6,000 | -4,000 |
10 | 50% (5勝5敗) | +2,500 | -5,000 | -2,500 |
10 | 60% (6勝4敗) | +3,000 | -4,000 | -1,000 |
10 | 70% (7勝3敗) | +3,500 | -3,000 | +500 |
勝率40% (4勝6敗) | |
合計利益 (円) | +2,000 |
合計損失 (円) | -6,000 |
最終損益 (円) | -4,000 |
勝率50% (5勝5敗) | |
合計利益 (円) | +2,500 |
合計損失 (円) | -5,000 |
最終損益 (円) | -2,500 |
勝率60% (6勝4敗) | |
合計利益 (円) | +3,000 |
合計損失 (円) | -4,000 |
最終損益 (円) | +1,000 |
勝率70% (7勝3敗) | |
合計利益 (円) | +3,500 |
合計損失 (円) | -3,000 |
最終損益 (円) | +500 |
リスクリワード比率が高い場合の勝率
リスクリワード比率が高い場合、勝率が低くても利益を上げられる可能性が高まります。例えば、リスクリワード比率が1:3の場合の損益額の例です。
リスクリワード比率1:3の場合の損益(トレード回数は10回)
トレード回数 | 勝率 | 合計利益 (円) | 合計損失 (円) | 最終損益 (円) |
10 | 20% (2勝8敗) | +6,000 | -8,000 | -2,000 |
10 | 30% (3勝7敗) | +9,000 | -7,000 | +2,000 |
10 | 40% (4勝6敗) | +12,000 | -6,000 | +6,000 |
10 | 50% (5勝5敗) | +15,000 | -5,000 | +10,000 |
勝率20% (2勝8敗) | |
合計利益 (円) | +6,000 |
合計損失 (円) | -8,000 |
最終損益 (円) | -2,000 |
勝率30% (3勝7敗) | |
合計利益 (円) | +9,000 |
合計損失 (円) | -7,000 |
最終損益 (円) | +2,000 |
勝率40% (4勝6敗) | |
合計利益 (円) | +12,000 |
合計損失 (円) | -6,000 |
最終損益 (円) | +6,000 |
勝率50% (5勝5敗) | |
合計利益 (円) | +15,000 |
合計損失 (円) | -5,000 |
最終損益 (円) | +10,000 |
勝率が30%以上であれば利益を上げることができます。さらに、リスクリワード比率が1:4の場合の損益の例は以下の通りです。
リスクリワード比率1:4の場合の損益(トレード回数は10回)
トレード回数 | 勝率 | 合計利益 (円) | 合計損失 (円) | 最終損益 (円) |
10 | 10% (1勝9敗) | +4,000 | -9,000 | -5,000 |
10 | 20% (2勝8敗) | +8,000 | -8,000 | 0 |
10 | 30% (3勝7敗) | +12,000 | -7,000 | +5,000 |
10 | 40% (4勝6敗) | +16,000 | -6,000 | +10,000 |
勝率10% (1勝9敗) | |
合計利益 (円) | +4,000 |
合計損失 (円) | -9,000 |
最終損益 (円) | -5,000 |
勝率20% (2勝8敗) | |
合計利益 (円) | +8,000 |
合計損失 (円) | -8,000 |
最終損益 (円) | 0 |
勝率30% (3勝7敗) | |
合計利益 (円) | +12,000 |
合計損失 (円) | -7,000 |
最終損益 (円) | +5,000 |
勝率40% (4勝6敗) | |
合計利益 (円) | +16,000 |
合計損失 (円) | -6,000 |
最終損益 (円) | +10,000 |
リスクリワード比率が高まれば、勝率20%以上あれば利益を上げることができます。
おすすめのリスクリワード比率は?
おすすめのリスクリワード比率と、リスクリワード比率が高すぎるまたは低すぎる場合の問題点を解説します。
おすすめのリスクリワード比率は1:2~1:3
リスクリワード比率は1:2~1:3がおすすめです。利益目標が相場に対して遠すぎず、かつ損切り幅も狭すぎない現実的な設定になるためです。例えば、リスクリワード比率が1:2の場合は勝率33.3%以上、リスクリワード比率が1:3の場合は勝率が25%以上が損益分岐点になります。
この範囲内であれば、勝率が多少低くても1度のトレードで取り戻しやすく、長期的には安定した収益を期待できます。
また、これぐらいのリスクリワード比率を提供してくれるトレードチャンスも、相場の中で比較的多く見つけることができます。
高いリスクリワード比率が難しい理由
リスクリワード比率を1:10にすれば、10回に1回以上勝てば利益が上がることになります。しかし、そういったチャンスはそう多くなく、仮に損切ラインを小さくすればちょっとした逆行ですぐに損切りにかかってしまいます。
下のチャート図で考えてみます。ダブルボトムからの上昇で、直近高値をブレイクしたのでエントリーできるタイミングです。
ここで、利確目標を直近最高値(青ライン)に置いたとします。リスクリワード比率1:10を達成しようと、損切りラインを極めて近くのネックラインあたり(①)に置くとどうなるでしょうか? 相場は一直線に進むわけではなく、少しの反発や調整で、すぐにこの狭い損切りにかかってしまう可能性が非常に高くなります。
一方、より現実的なリスクリワード比率1:2を狙って、損切りラインに適切な幅(例えばダブルボトムの底付近②)を持たせた場合、多少の逆行には耐えつつ、目標とする利確ラインまで到達できる可能性が高まります。
さらに、高いリスクリワード比率を狙えるエントリーチャンスは、残念ながら相場にそう頻繁には出現するものではありません。
低いリスクリワード比率が難しい理由
また、リスクリワード比率が低い場合、高い勝率が必要となりこちらも難しいです。
リスクリワード比率が1:1の場合、最低でも勝率50%、1:0.5のように利益が損失より小さい場合は66.7%が最低限必要となります。十分な利益を残そうとする場合より高い勝率が必要です。
さらにここからスプレッドや取引手数料が発生します。デイトレードやスキャルピングといったスタイルの場合、勝ちトレードの小さな利益を削り取ってしまうため、さらなる勝率が必要です。
頻繁に取引をするトレードスタイルの場合、適切なリスクリワード比率の設定とともに、取引コストが重要になります。取引コストを抑えたい場合は、ThreeTrader(スリートレーダー)がおすすめです。往復4ドルという破格の取引手数料で、取引コストを大幅に下げることが出来ます。
FXでリスクリワード比率を活用したトレード戦略
最後に、リスクリワード比率を計算・設定する手順と、リスクリワード比率を活用したトレード戦略を解説していきます。
エントリー前にリスクリワード比率を計算・設定する手順
まずは具体的なリスクリワード比を計算・設定する手順を解説していきます。
【ステップ①】許容できる最大損失額を決定する
1回のトレードで最大どれくらいの損失なら受け入れられるかを決定します。資金全体の1〜2%など、失ってもトレードを続けられる範囲で設定するのが一般的です。
例えば、資金10万円なら1,000円〜2,000円といったイメージです。海外FXで人気の1万円チャレンジでは、10回チャレンジできるように、1,000円を最大損失額に設定する場合が多いです。
【ステップ②】トレード手法に基づき損切りラインを決定する
トレード手法や相場分析の根拠に基づいて、どこに損切りラインを置くかを決定します。許容できる最大損失額と、この損切りラインまでの値幅からトレードで取引すべき適切なロットサイズを計算します。
例えば、許容損失額1,000円で、設定した損切りラインまでの値幅が10pipsだとします。この場合1pipsあたりの許容損失額は1,000円 ÷ 10(pips)で100円です。
1pipsの値動きは1ロット(10万通貨)で約1,000円なので、このケースでは0.1ロットが適切なロット数となります。
【ステップ③】目標利益を設定する
目指す利益目標である利確ラインを設定します。ステップ②で設定した損切りラインまでの値幅(リスク)に、目標リスクリワード比率の「リワード側」の数字を掛けて、利確までの値幅を計算します。
損切り幅10pipsでリスクリワード比率1:2の場合、利確目標は10pips × 2 = 20pipsとなります。
リスクリワード比率を活用して利確・損切ラインの決定
リスクリワード比率を活用して、利確・損切ラインの決定する具体例を解説します。以下のチャートの場合、リスクリワード比率を1:2に設定して、青色の利確ラインまで伸びると想定するなら、損切りはダブルボトムの底あたり、赤いラインになります。
これは、青色の利確ラインまで伸びる際に、調整や一時的な反発で下落することを織り込んで、この損切りラインまでなら含み損が出ても問題ないということです。
同じ場面でも、上昇してもそんなに伸びずせいぜい緑色のライン止まりだと想定した場合、緑色の利確ラインまでの値幅の半分程度に損切りを設定します。
このチャートでは、ダブルボトムのネックラインあたりに損切りラインを設定することになります。このように、目指す利益と許容するリスクのバランスをリスクリワード比率で管理することで、根拠に基づいた利確・損切りラインを設定できるようになります。
リスクリワード比率を活用してエントリー
リスクリワード比率自体は、「どこでエントリーするか」というエントリーポイント自体を教えてくれるものではありません。
エントリー自体はご自身のトレード手法(例:移動平均線のクロス、サポートラインのブレイク、特定のチャートパターン出現など)によって決定されます。
ただし、リスクリワード比率を満たさない場合エントリーするか見送るかを決める判断材料となります。たとえば、下のチャート図でエントリーサインが出たとします。
このチャートで「青色の利確ラインまでしか伸びないと考えるが、逆に損切りはダブルボトムの底値まで落ちる可能性が高い」と判断したとします。この場合、リスクリワード比率は1:2にならないため、「エントリーを見送る」という判断をすることになります。
手法のルールだけでエントリーするよりも、そこにリスクリワード比率を組み込むことで、漠然としていた「見送る」という判断もルール化することができます。これにより無駄なトレード、負ける可能性の高いトレードをなくすことができ、その結果利益を残しやすくなります。
トレードルールを守るためのリスクリワード比率
リスクリワード比率をトレード戦略に組み込むことは、感情に左右されず、トレードルールを徹底して守る上でも非常に大きなメリットがあります。
トレードにおいて感情に左右されないことは非常に重要です。損失が続くと焦りや不安から無理なエントリーをしてしまうことがあります。
そこで、リスクリワード比率を守ることで、冷静に次のトレードを計画し、感情に流されにくくルール通りの取引を続けることができます。
例えばリスクリワード比率が1:3であれば、1回の損失を3回の利益でカバーできます。リスクとリターンのバランスが分かっていれば、「この損失は想定内であり、数回の勝ちトレードで十分取り返せる」と冷静に対処可能です。
一時的な損失が続いても焦って無謀なトレードに走ることを防げます。
リスクリワード比率をトレードに取り入れ、継続的な利益の確保を!
リスクリワード比率は、トレード上級者向けの高度な戦略のように思われがちです。しかし、実際はむしろトレードの基礎であり、初心者こそ学ぶべき非常に重要な考え方です。勝率同様、トレードで継続的に利益を上げていくために不可欠な要素と言えます。
リスクリワード比率は、比較的簡単にトレードに取り入れることができます。自身のトレード戦略に適切に組み込むことで、資金管理の向上や感情に流されにくくなり、利益を追求するための強力なツールとなります。
デイトレードやスキャルピングなど、取引頻度が高いトレードスタイルの場合は、取引コストが重要になります。取引コストを抑えてトレードしたいのであれば、往復4ドルという業界でも特に低い取引手数料を設定しているThreeTrader(スリートレーダー)がおすすめです。