海外FXテクニカル分析

プライスアクションとローソク足の基本的な考え方
最初は基礎知識として、プライスアクションの概要や、ローソク足の見方などを解説します。
プライスアクションとは?
プライスアクションとは、主にローソク足による値動きを分析し、相場状況を把握するテクニカル分析方法の1種です。
一般的にテクニカル分析というと、移動平均線やボリンジャーバンドなどのインジケーターの使用を思い浮かべるかも知れません。インジケーターは値動きに計算式を当てはめた結果をチャート上に描画しますが、プライスアクションでは値動きそのものが分析の主役です。そのため、以下のようなメリットを得ることができます。
プライスアクションに注目するメリット
- リアルタイムで相場状況を把握できる
- エントリーや損切りラインを設定しやすい
- トレードをシンプルにできる
- インジケーターによる味付けのない、相場の本質に迫れる
もちろん、プライスアクションのみでトレードするか、インジケーターと組み合わせるかはトレーダーの自由です。インジケーターと組み合わせる場合でも、プライスアクションの考え方を知っておくことはトレードに役立つでしょう。
ローソク足のプライスアクションを分析することで、相場が転換しそうなのか、それともトレンドが継続するかなどの判断材料になります。例えば、重要な節目にさしかかった時にプライスアクションの分析ができれば、その後どうなるのかの予想がしやすくなるでしょう。
ローソク足の基本的な見方
プライスアクションの分析には、ローソク足が欠かせません。
ローソク足とは、ある期間内の始値、終値、高値、安値という4つの要素をひと目で分かるようにしたものです。例えば日足の場合は1日の値動きを表し、5分足の場合は5分ごとの値動きを表します。また、始値より終値が高かった場合は「陽線」、始値より終値が安かった場合は「陰線」として表示されます。
さらに、ローソク足は「ヒゲ」と「実体」部分に分かれています。「実体」というのは、「始値」と「終値」の差のことで、終値のほうが高ければ買いの勢いが強かった、終値のほうほうが低ければ売りの勢いが強かったと判断することができます。
ある期間の値動きは、「始値」からスタートし、「高値」と「安値」を経由して「終値」に到達しますので、この4つの要素が分かれば、おおよその値動きを知ることができます。
また、高値更新や安値更新は、プライスアクションと深い関係があります。実体部分が直近高値 / 安値を更新したのか、それとも、ヒゲだけが高値 / 安値を更新したのかによって意味が全く変わってくるからです。
ローソク足は日本人が発明した分析ツール
現在、世界中のトレーダーが最も基本的なチャート形式として利用しているのが「ローソク足」です。実体とヒゲが分かりやすいローソク足は、プライスアクションと相性が良いのかも知れません。実はこのローソク足は、江戸時代の「米相場」で有名な相場師、本間宗久が考案したものといわれています。日本の市場ではその当時から、ローソク足や罫線法など現代でも通じる先進的なテクニカル分析が行われていました。
どの時間のプライスアクションを見る?
プライスアクションを見る際の基本的な時間足は「日足」です。ただし、ローソク足が確定してからエントリーや決済を始めることから、レバレッジを効かせたFXの場合、日足だと変動幅が大きく、リスクもそれだけ大きくなってしまいます。
スキャルピングやスイングなど、トレードスタイルによってもプライスアクションを見るべき時間足は異なります。例えばデイトレードを行う場合は、リスクなどのバランスを考慮して、1時間足のプライスアクションを見ると良いでしょう。
プライスアクションは価格を基に判断するので、どの時間足でも問題なく利用できます。リスク許容度に合わせて、いろいろな時間足で試してみましょう。
複数銘柄のプライスアクションを確認する方法
複数の通貨ペアからトレードしやすいペアを探す場合、ブローカーが提供しているマーケットレートを確認する方法があります。
例えば海外FX業者のFXONでは、公式サイトの「Trader's Market」内にある「マーケットレート&チャート」のページで、取り扱う銘柄のリアルタイムチャートを公開しています。こうしたサービスを利用すれば、MT4 / MT5を使わなくてもプライスアクションをチェックすることが可能です。
FXON Trader's Market(トレーダーズマーケット)を開く
プライスアクションとチャートパターンの違い
値動きの分析として有名なものに、チャートパターンがあります。プライスアクションとチャートパターンには、以下のような違いがあります。
プライスアクションとチャートパターンの主な違い
プライスアクション | ローソク足1本〜数本の動きを分析し、相場の反転、継続を判断する |
チャートパターン | 複数のローソク足によって形成される特徴的な値動きを分析し、中長期的な動向を判断する |
プライスアクション |
ローソク足1本〜数本の動きを分析し、 相場の反転、継続を判断する |
チャートパターン |
複数のローソク足によって形成される特徴的な値動きを分析し、中長期的な動向を判断する |
プライスアクションはミクロ的な視点、チャートパターンはマクロ的な視点から値動きを分析している、といえるでしょう。
それぞれに大まかな違いはありますが、プライスアクションとチャートパターンは明確に切り分けられるものではありません。例えば日足で特徴的なプライスアクションが見られたとき、同じ部分を1時間足で見ると明確なチャートパターンが発生している、というような場合も十分にあります。
自分自身のトレードスタイルや、何を分析したいかを明確にして使い分けることが重要です。
「タートルズ」という有名な投資集団をご存じでしょうか。彼らは「高値」「安値」を更新したらエントリーというシンプルなトレンドフォロー手法を使っていました。もちろん、手法だけでなく資金管理の方法にも秘密があったようです。プライスアクションもタートルズと同様に、高値安値の更新や終値を重視しています。もしかしたら、市場で優位性のある取引手法には共通点があるのかも知れませんね。
プライスアクションを示すローソク足 6選
ここからは、プライスアクションを示すローソク足について、主要なものを画像を交えながら解説していきます。
継続のプライスアクション
まずは、トレンドの継続を示すプライスアクションとして、次の2つを見ていきましょう。
継続のプライスアクション
- スラストアップ / スラストダウン
- ランウェイアップ / ランウェイダウン
スラストアップ / スラストダウン
スラストアップは、直前のローソク足の高値よりも高い価格で終値が確定するプライスアクションです。スラストダウンはその反対になります。
スラストアップ / スラストダウンでは、陽線 / 陰線が連続して現れることになります。実体部分が長く、ヒゲが短いほど相場に勢いがあることが分かります。これだけではエントリーしにくいのですが、高値 / 安値を更新した後にスラストアップ / ストラスダウンが出現すると、トレンドが強いと判断ができます。
ランウェイアップ / ランウェイダウン
ランウェイアップは、継続的に価格が上昇していくトレンドの途中で見られるプライスアクションです。母線(基準となるローソク足)の高値が過去5本のローソク足の高値よりも高く、後続のローソク足5本で母線の安値を下回らない状態です。
画像では母線前後のローソク足の高安値が揃っていますが、揃っていることが重要ではなく、高値を更新し安値が下回らない状態が重要です。
ランウェイダウンはランウェイアップと反対で、継続的に値段が下落していくような場面で見られることが多いプライスアクションです。
転換のプライスアクション
続いて、トレンドの転換を示すプライスアクションとして、次の2つを見ていきましょう。
転換のプライスアクション
- ピンバー(十字線)
- リバーサルハイ / リバーサルロー
ピンバー(十字線)
ピンバーは、ヒゲが長く実体部分がほとんどないローソク足です。強い抵抗帯 / 支持帯がある価格帯でピンバーが発生すると、反発する可能性が高いと読み取ることができます。
例えば、ピボットラインの付近でピンバーが出現したり、直近高値 / 安値付近でピンバーが出現したりした場合は要注意です。
一方、大きな節目でもなくトレンドの途中で現れた場合は、一時的な停滞を示している可能性もあります。
リバーサルハイ / リバーサルロー
リバーサルハイは、直前のローソク足の高値を更新し、かつ直前のローソク足の終値を下回った状態のプライスアクションです。直近高値を更新したものの、陰線でローソク足が確定した状態になりますので、リバーサルハイが出現したらトレンドが転換する可能性を考慮に入れます。
リバーサルローの場合は、逆に直近安値を更新したものの、終値が直前のローソク足の終値を上回って陽線でローソク足が確定した状態になります。
停滞を示すプライスアクション
最後は、停滞やレンジ状態を示すプライスアクションとして、次の2つを見ていきましょう。
停滞のプライスアクション
- インサイド
- アウトサイド
インサイド
インサイドは、基準となるローソク足(母線)の高値と安値の間に、続くローソク足が収まる形であり、一時的な停滞を示すプライスアクションです。母線の高値 / 安値をブレイクしたらエントリーする、というようにトレード手法として利用することができます。
母線の高値 / 安値の間に収まっているローソク足の数が多いほど、トレンドのエネルギーが蓄えられており、強いトレンドが発生しやすいといわれています。
アウトサイド
アウトサイドは、母線(基準となるローソク足)が、直前のローソク足の高値/安値を覆うプライスアクションです。インサイドと同様に、母線の高値/安値の間に収まっているローソク足の数が多いほど、トレンドのエネルギーが蓄えられており、強いトレンドが発生しやすいといわれています。
ローソク足のプライスアクションを利用した実践トレード手法
ここからは、ローソク足のプライスアクションを利用した、トレードで使える実践的な手法を解説します。
ローソク足でトレンド状態を分析する手法
まずは、ローソク足の「ヒゲ」の長さに注目し、トレンドの状態を分析する手法を見ていきましょう。
例えば、上昇トレンドの陽線で考えてみます。トレンドの最中には、以下のような特徴的なローソク足が出現することがあります。
①のローソク足は、ピンバーになる場合もあります。陽線の場合は、価格が下がったとたん、買い注文が多くなりトレンドに勢いがついたことを意味しており、次の足が陽線になれば、トレンド継続のサインといえるでしょう。陰線の場合は、売り圧力が残っている可能性があります。
②のローソク足は、買いと売りのバランスがとれていることや、値動きの停滞を示しています。次のローソク足の形に注目しましょう。
③のローソク足は、高値付近で売り圧力が強まったことを示しており、ピンバーになることもあります。陽線の場合は、次の足が陰線なら上昇トレンドの弱まりが示唆されています。反対に陰線となった場合は、トレンド転換の可能性を示すサインの場合があります。
リバーサルハイとチャートパターンによるトレード手法
続いて、リバーサルハイと下降トライアングルを組み合わせたトレード手法を見ていきましょう。リバーサルハイは、トレンド転換を示唆するプライスアクションでしたね。そこにチャートパターンであるトライアングルを組み合わせることで、精度の高いトレードが可能になると考えています。
以下の画像をご覧下さい。
高値圏でリバーサルハイと下降トライアングルが出現したら、トレンド転換の可能性を考慮に入れましょう。通常、トライアングルは継続パターンですが、天井圏(高値圏)で発生することも珍しくなく、勢いをつけて下落することが多いように感じています。
買い支えられている下降トライアングルの安値を「ローソク足が実体でブレイク」したら、エントリーします。ストップはリスク許容度によって異なりますが、ブレイクする直前のローソク足高値に設定すると良いでしょう。
上記の図は日足チャートですが、1時間足でも1分足など短い時間足でも機能します。ぜひ色々な時間足のプライスアクションやチャートパターンに注目して下さいね。
プロの
助言
必ずしも、プライスアクションだけで全てを判断する必要はありません。トレードスタイルによっては、プライスアクションとチャートパターンを総合的に分析したり、GMMAや移動平均線などのトレンド判断に使えるインジケーターと併用することもおすすめです。
プライスアクションはどのチャートでも応用できる
1本1本のローソク足は、市場参加者による売買の記録です。プライスアクションは、相場の本質である値動きに注目したチャート分析方法なので、FX通貨ペアでもCFD銘柄でも応用できます。
ローソク足によるプライスアクションには、いくつかのパターンがあります。最初は見分けがつかないこともありますから、少しずつ練習しながらローソク足のプライスアクションに慣れていくと良いでしょう。
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編集部の
コメント
プライスアクションを分析する際は、人によってはデフォルトのチャート色ではなく、ローソク足の色を赤と青などに変更しておくほうが、陽線や陰線の判別がしやすくなるかも知れません。MT4 / MT5では、好みに応じてチャート色を変えられるので、詳しい方法は以下の記事をご覧下さい。