海外FX初心者

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MT4とMT5は、多くの海外FX業者が採用する優れた取引ツールですが、細かい違いがそれぞれにはあります。これから海外FXを始める方にとっては、どちらを選ぶべきか、判断に迷う場合があるのではないでしょうか。
おおまかな選び方として、「裁量トレードにはMT5」「自動売買(EA)にはMT4」という目安があります。なぜかというと、最新版であるMT5は動作が軽く機能豊富、一方でリリース年の早いMT4はEAの数が多いためです。
この記事では、MT4とMT5を実際に利用してみた体験談も交えながら、それぞれの違いや選び方を分かりやすく解説します。

この記事の目次
MT4とMT5の違いを項目別に徹底比較!
MetaTrader4(MT4)とMetaTrader5(MT5)は、MetaQuotes Software社によって開発された、トレード専用のプラットフォームです。MT4 / MT5ともに、チャート表示や分析はもちろん、エントリーや決済などのポジション操作など、トレードに必要なほぼ全ての作業を行うことができます。
下は実際のMT5の画面です。
複数チャートを同時に表示可能であることに加えて、取引銘柄や口座管理、ポジション管理に関するウィンドウも配置可能であり、この画面1つでトレードを完結させられます。
こうした基本性能やレイアウトは、MT4 / MT5に共通する部分です。しかし、MT5のほうが後継版にあたるため、MT4と比較した場合に、細かい点で違いが見えてきます。
続いて、MT4とMT5の主な違いを一覧表で確認してみましょう。
MT4とMT5の主な違い
項目 | MT4 | MT5 |
リリース年 | 2005年 | 2012年 |
動作スピード | やや重い | 軽快 |
注文方法 | 成行・指値・逆指値など | 成行・指値・逆指値・ ストップリミット注文など |
時間足 | 9種類 | 21種類 |
標準搭載のインジケータの数 | 30種類 | 38種類 |
標準搭載のライン類の数 | 31種類 | 44種類 |
カスタムインジケータ・EAの数 | 非常に多い | 多い |
気配値ウィンドウ | 機能が少ない | 機能が多い |
モバイルアプリ | あり | あり |
アップデート頻度 | ほとんどなし | あり |
リリース年 | |
MT4 | 2005年 |
MT5 | 2012年 |
動作スピード | |
MT4 | やや重い |
MT5 | 軽快 |
注文方法 | |
MT4 | 成行・指値・逆指値など |
MT5 | 成行・指値・逆指値・ ストップリミット注文など |
時間足 | |
MT4 | 9種類 |
MT5 | 21種類 |
標準搭載のインジケータの数 | |
MT4 | 30種類 |
MT5 | 38種類 |
準搭載のライン類の数 | |
MT4 | 31種類 |
MT5 | 44種類 |
カスタムインジケータ・EAの数 | |
MT4 | 非常に多い |
MT5 | 多い |
気配値ウィンドウ | |
MT4 | 機能が少ない |
MT5 | 機能が多い |
モバイルアプリ | |
MT4 | あり |
MT5 | あり |
アップデート頻度 | |
MT4 | ほとんどなし |
MT5 | あり |
基本的なスペックを比較した場合、どの項目でもMT5の方が能力が高いといえます。続いて、各項目を詳しく見ていきましょう。
動作スピードはMT5が快適
MT4とMT5の大きな違いは、動作の快適さです。MT5はPC版もアプリ版も動作が非常に軽く、MT4で感じるモサッとした感じはありません。
たくさんのチャートウィンドウを開いて監視するトレーダーは、処理能力の高いMT5のほうが適しているでしょう。筆者は、実際に15個以上のチャート画面を表示させて取引しているのですが、MT4では画面が固まってしまうことがありました。
注文方法・決済方法はMT5がやや有利
MT4 / MT5ともに主要な注文方法・決済方法に対応していますが、MT5のほうがより多くの方法に対応しています。
MT4 / MT5に標準搭載の注文方法・決済方法の違い
項目 | MT4 | MT5 |
注文方法 |
|
|
決済方法 |
|
|
MT5で特に注目すべきは、ストップリミット注文に対応している点と、標準機能として複数ポジションの一括決済に対応している点です。
MT4では利用できる注文決済方法が限られていたのに対して、MT5はバリエーションが多く、大きな違いとなっています。
時間足はMT5が豊富
MT4とMT5では、使用できる時間足にも違いがあります。MT5のほうが多くの分足や時間足に対応しており、トレードの幅を広げられます。
以下に、MT4とMT5で使用できる時間足の違いをまとめました。
MT4 / MT5で利用できる時間軸の違い
MT4 | 1分 / 5分 / 15分 / 30分 / 1時間 / 4時間 / 日足 / 週足 / 月足 |
MT5 | 1分 / 2分 / 3分 / 4分 / 5分 / 6分 / 10分 / 12分 / 15分 / 20分 / 30分 / 1時間 / 2時間 / 3時間 / 4時間 / 6時間 / 8時間 / 12時間 / 日足 / 週足 / 月足 |
MT4 |
1分 / 5分 / 15分 / 30分 / 1時間 / 4時間 / 日足 / 週足 / 月足 |
MT5 |
1分 / 2分 / 3分 / 4分 / 5分 / 6分 / 10分 /12分 / 15分 / 20分 / 30分 / 1時間 / 2時間 /3時間 / 4時間 / 6時間 / 8時間 / 12時間 /日足 / 週足 / 月足 |
MT5では分足や時間足がより細かく分けられており、さまざまな時間軸でのスキャルピングやデイトレードに対応することができるでしょう。
インジケーターやライン類はMT5が多い
標準搭載のインジケーターやオシレーター、そしてラインなどの数にも違いがあり、MT5のほうがより多くなっています。
MT4 / MT5に標準搭載のインジケーターやライン類の違い
項目 | MT4 | MT5 |
標準搭載のインジケータの数 | 30種類 | 38種類 |
標準搭載のライン類の数 | 31種類 | 44種類 |
標準搭載のインジケータの数 | |
MT4 | 30種類 |
MT5 | 38種類 |
標準搭載のライン類の数 | |
MT4 | 31種類 |
MT5 | 44種類 |
ただし、インジケーター、オシレーター、ラインなどに関する機能は、次に解説する「カスタムインジケーター」によって補うことが可能です。そのため、MT4とMT5の違いは実質的には少ないといって良いでしょう。
カスタムインジケーター・EAはMT4が有利
MT4とMT5はそれぞれ、MQL4とMQL5というプログラミング言語によって、カスタムインジケーターやEAを誰でも作成可能です。
カスタムインジケーターは、テクニカル分析をサポートするインジケーターだけでなく、MT4で一括決済機能を追加するものや、日本時間表示を追加するものなど、多岐に渡ります。また、EAとはMT4 / MT5で稼働する自動売買プログラムのことです。
海外FX取引の主役はMT4だった期間が長いため、MT5が普及した現在でも、世の中に出回っているカスタムインジケーターやEAの数はMT4用のものが多いです。カスタムインジケーターやEAについて、すでにMT4用のものを愛用している場合や、数多くの種類から選びたい場合は、MT4が有力な選択肢になるでしょう。
編集部の
コメント
基本的な機能はMT5のほうが優れていますし、MT4 / MT5の開発元であるメタクオーツ社は、MT5のアップデートを頻繁に行っており、早くMT5へ移行させたいと考えているようです。それでもMT4が現役で使われている理由として、MQL4とMQL5には互換性がないこと、MT4用のカスタムインジケーターやEAのマーケットが現在も大きいことなどがあります。
気配値ウィンドウはMT5のほうが便利
MT5では、気配値ウィンドウで確認できる情報が増え、より便利になっています。MT4では「通貨ペアリスト」と「ティックチャート」だけだったのに対し、MT5では「プライスボード」と「詳細」が追加されています。
特にプライスボード画面では、複数の通貨ペアのレートが一目で確認できるだけでなく、この画面から注文することも可能です。
スマホアプリ版はMT5のほうが機能豊富
MT4 / MT5は、PC版だけでなくAndroidやiOSに対応したスマホアプリ版もリリースされており、外出先でも値動きをチェックしたり、トレードしたりすることが可能です。
特にMT5はアプリも進化していて、Android版では2つのチャートの同時表示に対応しています(iOS版は不可)。
この画面では、上にドル円のチャート、下に日経平均株価のチャートを表示させています。MT4のアプリでは一度に1画面しか表示できなかったため、異なる銘柄のチャートを同時に確認したり、同じ銘柄で異なる時間足を表示させたりなどはできませんでした。
複数のチャートを表示してトレードしたい人は、MT5の利用がおすすめです。
MT5アプリで2種類のチャートを表示する方法を知りたいかたはこちら
MT4 / MT5はMacにも対応している?
MT4 / MT5は、MacやLinuxでも使用することができます。しかし、PC版MT4 / MT5は基本的に Windows用のアプリケーションであり、MacやLinuxで使用する場合は、「Wine」というソフトウェアを介して動作させることになります。
海外FX業者の公式サイトなどからMacやLinux用のMT4 / MT5をダウンロードする場合、Wineも同梱されている形なので、入手方法に心配は要りません。ただし、MacやLinux用のMT4 / MT5は動作に少々不安定な部分があったり、OSのバージョンによっては起動が不安定な場合があったりする点には注意が必要です。
もしMacやLinux用MT4 / MT5の動作が安定しない場合、ウェブトレーダーや、VPS(仮想専用サーバー)の利用がおすすめです。
アップデート頻度はMT5が圧倒的有利
一般に、ソフトウェアのアップデートは機能の改善や健全性の維持に重要ですが、MT4 / MT5にはその点にも違いがあります。
MT5のアップデートは数ヶ月ごとに行われていますが、MT4ではほとんどなく、1年程度の間隔が開くことは珍しくありません。またメタクオーツ社の公式サイトでは、ブローカーに対してMT5への移行が呼びかけられており、開発元としてはMT4へのサポートは最低限に留め、MT5の普及に力を入れたい意向が伺えます。
MT4とMT5どちらがおすすめ?
ここからは、MT4 / MT5の違いを考慮しながら、いくつかのケースごとにどちらを使い分けるべきかを解説します。
編集部の
コメント
MT4とMT5には互換性がないため、海外FXで取引する際は、ある1つの取引口座についてプラットフォームを使い分けることはできません。もしMT4 / MT5を使い分けたいなら、複数の取引口座を開設して利用すると良いでしょう。
海外FX初心者の場合はMT5がおすすめ
海外FXをこれから始める方の場合は、MT5がおすすめです。その大きな理由として、MT5のほうが現代のPCスペックに合った性能を持っており、PC版・スマホアプリ版ともに高機能であることが挙げられます。
海外FXの取引ツールとして、MT5が今後より比重を増すことはあっても、その反対になる可能性は低いと考えられます。今から海外FXを開始される場合は、あえて古いバージョンであるMT4を選択する理由はないでしょう。
裁量トレーダーはMT5がおすすめ
MT5はMT4とは違い、動作の軽快さや、時間足や注文方法の多さなどが優れています。MT5の持つ特徴は、快適な環境で裁量トレードを行いたいトレーダーに最適です。
しかしMT5は、利用できるカスタムインジケーターが、比較的少ないというデメリットがあります。自分の希望に合うカスタムインジケーターがMT4用にしかない、などの場合は、MT4の利用も検討すると良いでしょう。
自動売買するならMT4がおすすめ
本格的に自動売買をしたい場合、MT4は避けて通れないといっても過言ではありません。なぜかというと、世の中に出回っている自動売買システム(EA)はMT4用のものが多く、EA販売サイトのランキングで、MT4用のものが上位を占めているケースも珍しくはないからです。
ただし、EAで重要なバックテスト機能やテストのための処理速度など、ハード面ではMT5のほうが優れています。また、MT5のほうが分析機能も充実しており、以下の図のように、EAがトレードする頻度や損益を時間帯ごとに集計し、グラフで表示する機能もあります。これにより、勝ちやすい時間帯があるかどうかを確認することができます。
MT5の実行スピードはMT4よりも速く、開発会社であるメタクオーツ社によると、MT5用のプログラム言語(MQL5)で作成されたプログラムの実行スピードは、MT4用のプログラムの最大20倍だそうです。
今後のことを考えると、MT4だけでなくMT5での自動売買を検討しても良いかも知れません。
MT4とMT5に対応したおすすめ海外FX業者
ここからは、MT4とMT5の両方に対応しており、安全性が高く利用しやすい海外FX5社をご紹介します。
FXplusでご紹介している全ての海外FX業者を確認したい場合は、以下の記事も参考にしてみて下さい。
XMTrading
XMTrading(エックスエム)は、安定した約定力や、信頼性の高い運営体制により高い人気のある海外FX業者です。スイスフランショックなどの市場変動時でもしっかりとゼロカットを行ってきた実績も、評価の高さのポイントでしょう。
XMを利用する大きなメリットが、豊富なボーナスキャンペーンです。現在XMでは、FXplusとのタイアップキャンペーンとして、口座開設ボーナス15,000円とGOLDステータスが同時に付与される限定キャンペーンを開催中です。XMの口座開設ボーナスは通常13,000円ですので、より高額のボーナスを獲得し、お得にトレードを開始できるチャンスです。
Titan FX
Titan FX(タイタン FX)は、取引環境を重視するトレーダーに支持されている海外FX業者です。「Zero Pointテクノロジー」による高い約定力やスプレッドの狭さに定評があり、スキャルピングや自動売買をするトレーダーにおすすめです。
Titan FXでは、公式サイト内にある「タイタンFX研究所」で、EAやカスタムインジケーターの無料提供サービスを行っています。Titan FXで口座開設することで、MT4 / MT5で稼働する好成績のEAなどが利用できますので、自動売買に興味がある方は利用してみてはいかがでしょうか。
XS.com
XS.com(エックスエス)は、2023年から個人向けのトレードサービスを開始した海外FX業者です。しかしブローカーとしては、2010年から機関投資家等に向けて金融インフラを提供してきた実績があり、信頼性や安全性が確立されているといえるでしょう。
XS.comの特徴として、スプレッドの狭さに加えて、最大2,000倍のダイナミックレバレッジの提供があります。XS.comのダイナミックレバレッジは、有効証拠金ベースとロットベースの2種類から選択可能です。低スプレッドと高いレバレッジを活用して利益を狙いたいトレーダーにとって、XS.comは最適な選択肢となるでしょう。
Vantage Trading
Vantage Trading(ヴァンテージ)は、2009年に設立され、低スプレッドや高額ボーナスといった魅力的なサービス内容から注目を集めている海外FX業者です。日本向けのサービスを一時中断していた時期がありましたが、2022年から再開しています。
Vantage Tradingで取引する大きなメリットに、最大15,000円の口座開設ボーナスと、最大120%の初回入金ボーナスがあります。証拠金を強化して取引に挑戦できるので、海外FX初心者の方でも利用しやすいブローカーでしょう。
FXON
FXON(エフエックスオン)は、2025年からサービスを開始した新時代の海外FXブローカーです。運営実績自体は少なめですが、サービス開始の8年以上前からビッグデータの解析やトレーダーへのリサーチなどを段階的に進めてきました。
FXONの魅力は、AI技術を用いたディーリングデスクによって低スプレッドと高い公平性を実現した取引環境や、今までにない高機能なクライアントポータルなどにあります。FXONのクライアントポータルでは、MT4 / MT5で取引中のポジション管理が行えるほか、取引情報を分析し可視化することが可能です。FXONは、高水準の利用環境を求めるトレーダーにおすすめしたい海外FX業者です。
MT5の裏ワザ便利機能を紹介!
最後は、MT5で導入された便利機能を解説します。
ドッキング解除で複数チャートを表示
MT4では、全てのチャートウィンドウがMT4画面に収まっていますが、MT5では違います。下の画像のように、「ドッキング解除機能」によってチャートウィンドウを、MT5の本体から分離することが出来ます。
複数のモニターを使用するトレーダーの場合でも、MT5を1つ起動するだけで各モニターにチャートを移動できるので、PCの負荷を減らすことができるでしょう。
経済カレンダーをチャート上に表示
MT5では、「経済カレンダー」が標準搭載されており、イベントをチャート上に表示することができます。MT4では、標準機能として経済指標カレンダーを搭載していないため、MT5の便利機能といえるでしょう。
下の画面は、EUの貿易収支発表について、チャート画面での表示や、ツールボックスの「指標カレンダー」タブ内で詳細情報が確認できる様子を示したものです。
「経済カレンダー」は常に更新され、経済指標だけでなく、各国の祝日、主要要人の発言などの予定時刻も表示させることができます。
ミニチャートで簡単MTF分析が可能
MT5の新機能として「ミニチャートの表示」があります。この新機能を使えば、簡単なマルチタイムフレーム(MTF)分析が可能です。
例えば、1分足のスキャルピングの際に、1時間足、4時間足、日足のミニチャートを表示させます。上位足の相場環境を把握することで、スキャルピングの精度を上げることができるでしょう。
ミニチャートの表示方法については、MT5ご利用ガイドを参考にして下さい。
これから海外FXを始めるならMT5がおすすめ
ここまで、MT4とMT5の違いを解説してきました。機能や性能などは最新版であるMT5のほうが優れており、これから海外FXを始めるならMT5を選択することがおすすめです。ただし、入手可能なカスタムインジケータや自動売買(EA)の数では、依然MT4のほうが有利な状況といえます。使いたいカスタムインジケーターやEAがMT4用のものしかない場合、MT4の使用も検討すべきでしょう。
近年では多くの海外FX業者がMT4とMT5の両方に対応しているので、それぞれの違いを理解し、トレードスタイルによって使い分けてみてはいかがでしょうか。
編集部の
コメント
MT4がリリースされた2005年は、WindowsXPが現役で使われている時代でした。XPのエディションの多くは32ビットで提供されていましたが、近年のPCは64ビットが主流であり、データの処理能力には大きな違いがあります。こうしたハード面の背景からMT4は設計思想の古さが指摘されることがあり、現代のPC環境にはMT5のほうが適していると見ることができます。