海外FXの入出金方法

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資金決済法改正案が国会で可決されたことで、海外FXをはじめとする国外サービス利用者の送金環境は大きな転換点を迎えようとしています。
この改正法が施行されれば、bitwalletなどのオンラインウォレットや国内銀行経由の送金ルートは、法令に基づく制限を受けることが考えられます。入金・出金の双方に影響が及ぶため、「気づいた時には資金が動かせない」というリスクを避けるには、今から代替手段を用意しておくことも検討しなければなりません。
本記事では、改正資金決済法の重要なポイントと想定される影響を整理したうえで、海外FXトレーダーが今日から取れる具体的な対策を解説しています。金融庁の公開資料と業界関係者へのヒアリングを基に、要点だけを分かりやすくまとめましたので、bitwalletユーザーや国内銀行経由で海外ブローカーと取引している方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事の目次
bitwalletなどが日本から利用禁止に?金融庁が資金決済法が改正
今回の改正では、国境をまたいで資金を集める「クロスボーダー収納代行業」に対し、これまで以上に厳しい規制が課されます。改正資金決済法の最大の目的は、マネーロンダリング(資金洗浄)のリスクを徹底的に抑え込むことです。
海外FXブローカーを利用している多くの方は、このクロスボーダー収納代行業を利用して入出金を行っています。したがって、「自分には関係ない」と見過ごすのではなく、新ルールの概要と影響範囲を把握しておくことが、リスクを回避する第一歩になります。
改正法は2025年6月6日に衆参両院で可決・成立し、2025年6月13日に公布済みです。公布日から1年以内、つまり遅くとも2026年6月12日までには施行される予定と発表されています。猶予期間はあるものの、施行の直前に慌てないよう、いまのうちから代替ルートの確認を進めておきましょう。
金融庁の資金移動業ライセンス取得を義務付け
改正資金決済法が施行されると、国境を越えて収納代行サービスを提供する事業者、いわゆる「クロスボーダー収納代行業者」は、金融庁の「資金移動業者」登録なしで事業を継続することができません。
「では登録を取れば解決するのでは?」と思われるかもしれませんが、実際には認可のハードルが非常に高いのが現状です。とりわけ、金融庁から「無登録業者」として警告を受けている海外FXブローカーとの入出金を主業務とする事業者は、申請を行っても許可が下りない可能性が高いと見込まれます。
したがって、現行の国内銀行送金ルートが近い将来停止されるリスクは現実的に起こり得るでしょう。海外FXを利用されている方は、今のうちに代替となる入出金手段の確保を優先課題として検討しておくべきです。
施行後6ヶ月以内に資金移動業の認可申請が必要
改正資金決済法はまだ施行前ですが、施行が始まった瞬間からカウントダウンが始まります。対象事業者は施行日から6か月以内に金融庁へ資金移動業の登録申請を出さなければなりません。
海外FXブローカー向け送金をメインに扱う収納代行業者は、登録取得の見通しが立たないことから、施行直後に日本市場から一斉撤退する可能性が高いといえるでしょう。
一方、海外FXやオンラインカジノと無関係の収納代行業者は、少数ながら登録取得を目指して申請に動くと見込まれます。
最大24ヶ月以内に金融庁のライセンス取得が絶対条件
資金移動業の申請を出しただけでは営業は続けられません。施行日から最長24か月以内 に金融庁の正式な認可を得ることが絶対条件です。
クロスボーダー収納代行各社は内部管理体制の再構築や収益モデルの見直しなど、登録審査をクリアするための対応を迫られますが、期限までに認可が下りなければその時点で営業停止になります。
海外FXで広く利用されているクロスボーダー収納代行は、そのほとんどが専門的なノウハウを持つ収納代行業者ではありません。したがって、取得難易度の高い資金移動業のライセンス取得は極めて難しいでしょう。サービス終了や廃業に追い込まれるリスクは現実的です。
違反すると無許可で為替取引を行ったものとして最大3億の罰金
資金移動業の登録がないままサービスを続けると、最大3億円もの巨額な罰金が科されます。この厳しいペナルティを前に、海外FXブローカーや関連サービスを利用してきた事業者も、収納代行スキームからの撤退を余儀なくされるでしょう。
また、日本国内の銀行も、未認可の収納代行業者に対して一層厳しい対応を取ることが予想されます。結果として、収納代行業者が未認可の状態で事業を継続するのは事実上不可能となるでしょう。
bitwalletは収納代行業者?
bitwalletは、日本国内の法律上、クロスボーダー収納代行業者に該当する可能性があります。しかし、bitwalletはシンガポール法人であるため、日本の資金決済法が直接適用されるわけではありません。したがって、今回の資金決済法改正により直ちに違法業者とみなされる可能性は低いと考えられます。
ただし、bitwalletにおける日本円の入出金業務を担っているのは、今回問題視されているクロスボーダー収納代行業者です。そのため、bitwallet自体ではなく、その利用手段が将来的に制限される恐れがあります。
bitwalletやクロスボーダー収納代行業者はこれからどうなる?
改正資金決済法が施行されると、クロスボーダー収納代行業はこれまで以上に厳しい規制の対象となります。とりわけ、多くの海外FX業者が利用してきた「収納代行業経由の国内銀行送金」は、一斉に姿を消す可能性が高いでしょう。
加えて、bitwalletやSTICPAYなどのオンラインウォレットが資金移動業者に該当しながら認可を得られなかった場合、海外FX口座への入出金は一段とハードルが上がります。
国内銀行送金として提供されている収納代行業者の場合
海外FXブローカーのサイトでよく見かける「国内銀行送金」とは、トレーダーがブローカー指定の国内銀行口座へ日本円を振り込む方式です。しかし、その口座名義はブローカー本人ではなく、決済を仲介するクロスボーダー収納代行業者です。代行業者がトレーダーからの資金を一旦受け取り、海外のブローカー口座へ送金する仕組みになっています。
このクロスボーダー収納代行業者は、日本の資金決済に関する法律(資金決済法)に基づき「資金移動業者」としての登録が必須になります。しかし、資金移動業の登録申請時には主な取引先として海外FXブローカーの存在を開示せざるを得ません。海外FXブローカーに対して厳格な姿勢を示す金融庁が、こうした代行業者を正式に認可する可能性はきわめて低いとみられています。
その結果、改正資金決済法が施行されるタイミングで、「国内銀行送金」は相次いで終了すると考えられます。もし現在、国内銀行送金をメインに利用しているなら、早めに対策を取っておくべきでしょう。たとえば、ビットコインやUSDTなど仮想通貨による入出金ルートを確保しておけば、サービス停止後もスムーズに資金を移動できます。
WiseやRevolutなどの場合
海外FXとの直接的な関係はありませんが、比較として国際的に有名な海外送金サービスである「Wise」と「Revolut」を取り上げてみましょう。いずれも日本法人を設立し、資金決済法に基づく「資金移動業者」としてすでに登録済みですので、今般の法改正による営業制限を受けるリスクはほとんどありません。
WiseとRevoluteの資金移動業登録内容
サービス | 資金移動業区分 | 送金上限額(1回あたり) |
Wise | 第一種 | 上限なし |
Revolut | 第二種 | 100万円未満 |
資金移動業区分 | |
Wise | 第一種 |
Revolut | 第二種 |
送金上限額(1回あたり) | |
Wise | 上限なし |
Revolut | 100万円未満 |
なお、WiseとRevolutでは、取得している資金移動業の認可種別が異なります。Wiseは、より取得難易度の高い「第一種資金移動業」として認可を受けているため、送金できる金額に上限は設けられていません。一方、Revolutは「第二種資金移動業」としての認可となっているため、一度に送金できる金額が100万円以下に限定されています。
金額に応じて使い分ければ引き続き便利に利用できます。ただし、海外FXブローカーがWiseやRevolutを公式の入出金手段として採用している例はほぼありません。
bitwalletやSTICPAYの場合
XMTrading(エックスエム)やTitanFX(タイタンFX)など、多くの海外FX業者での入出金手段として利用されている「bitwallet」や「STICPAY」は、日本ではいずれも資金移動業の登録を受けていない「クロスボーダー収納代行業者」に分類されます。
これらのサービスは、今後の法改正や業界の動向次第で大きく変わる可能性があります。bitwalletを利用した入出金を検討している方は、最新の法規制や業界の動向を常に確認することをおすすめします。
bitwalletなどの法的位置づけと送金の現状
bitwalletやSTICPAYなどオンラインウォレットの法的な扱いは複雑で、日本からオンラインウォレットへ送金する際と、オンラインウォレットへ着金してからの扱いが異なります。
たとえば、日本からbitwalletへ送金する際は、クロスボーダー収納代行業者を利用して行われます。しかし、この仕組みは現行法のグレーゾーンに近く、2025年に予定されている資金決済法の改正により、クロスボーダー収納代行業者の多くが撤退を余儀なくされる見通しです。
その結果、bitwalletなどのオンラインウォレットへの日本円送金が非常に困難になり、実質的に日本円での利用手段が断たれる恐れがあります。
現在公表されている改正案の内容を見る限り、bitwalletをはじめとするオンラインウォレットへの大きな影響は避けられません。今後サービス継続に向けた対応策が取られる可能性はありますが、最悪の場合、日本国内からの利用が制限されたり、全面的に利用不可となる事態も視野に入れておく必要があります。
着金後の資金は日本法の適用外
一方で、オンラインウォレットに一度着金した資金は日本国内の法制度の適用外となり、bitwalletが本拠を置くシンガポールの法律に基づいて管理されます。つまり、bitwalletそのものは日本の法律に違反しているわけではなく、資金の管理や送金業務も適法に行われます。
ただし、日本円の入出金ルート確保が難しくなるため、今後もbitwalletなどが収納代行業者として業務を継続するためには新たな対応策が求められるでしょう。
biewpayはどうなる?
現在、bitwalletでは「biewpay」という入金手段も提供されています。これは、PayPayと連携してbitwallet口座に資金を送る仕組みですが、こちらも注意が必要です。行政からの指導や法的な問題が考えられる場合、PayPayがbitwalletへの送金を停止する可能性も考えられるでしょう。その場合、このルートを使った入金もできなくなります。
bitwalletに代わる入出金手段は仮想通貨がおすすめ
今回の資金決済法改正を受け、海外FXブローカーなどへの入出金手段として、仮想通貨の利用が主流になっていくことが見込まれます。
ビットコインやテザー(USDT)などの仮想通貨を用いた資金のやり取りであれば、今回の法改正による直接的な影響を受けにくく、最小限のリスクで海外FX業者への送金が可能です。
仮想通貨での入出金が安全な理由とは
仮想通貨での入出金が改正資金決済法の影響を受けるリスクが比較的低いとされるのは、その特性上、資金の最終的な送金先を特定しにくいことが主な理由です。
海外FXブローカーの多くは、仮想通貨の入出金において「決済ゲートウェイプラットフォーム」を利用しています。ユーザーが海外FXブローカーへ仮想通貨送金を行う際に表示されるウォレットアドレスは、大体がこの決済ゲートウェイのアドレスです。
また、このアドレスはユーザーによってそれぞれ異なるウォレットアドレスが割り振られており、外部からは瞬時に決済ゲートウェイプラットフォームのものと判断することが困難です。そのため、この決済ゲートウェイを中継することにより、金融当局などからは海外FXブローカーへの直接的な送金であると判断されにくくなるのです。
さらに、これらの決済ゲートウェイプラットフォームの多くは、「トラベルルール」という国際的な規制にも対応しています。トラベルルールとは、仮想通貨の送金を行う際に、送金元と送金先の情報を必要な範囲で共有することを義務付けるもので、マネーロンダリングなどの不正取引を防ぐことを目的としています。これにより、透明性とセキュリティの観点からも一定の基準が満たされています。
しかしながら、必ずしもすべての海外FXブローカーがこのような決済ゲートウェイプラットフォームを介しているとは限りません。万が一、予期せぬトラブルが発生した場合のリスクを最小限に抑えるためにも、日本の仮想通貨取引所から直接海外FXブローカーへ送金することは避け、ワンクッションを挟むのがより安全な方法となります。
推奨される送金手順としては、まずご自身の「日本の仮想通貨取引所」から「トラベルルールに準拠している国外の仮想通貨取引所」へ一度資金を移動します。そこから、目的の海外FXブローカーへ仮想通貨送金を行うことで、よりリスクを抑えての送金が可能となります。
直接送金はできるだけ避けよう
国内取引所は年々送金に関する規則が厳しくなっています。そのため、国内取引所から海外FX業者への直接送金は必ずしも安全とは限りません。万が一のリスクを避けるためにも、できるだけ海外取引所や仮想通貨ウォレットを仲介して海外FX業者へ送金しましょう。
仮想通貨での入出金には注意点も
海外FXブローカーなどへ仮想通貨を利用して入出金を行う際には、いくつかの注意点が存在します。
仮想通貨の価格差や変動リスク
従来の銀行送金などの方法であれば、海外FXブローカーの日本円建て口座に対し、日本円でそのまま入出金の手続きが可能でした。しかし、仮想通貨で入出金をするとなれば、以下のようなタイミングで法定通貨と仮想通貨の価格差の影響が発生します。
価格差や変動が影響する4つのタイミング
- 入金前:円→仮想通貨
- ブローカー着金時:仮想通貨→口座(円)
- 出金時:口座(円)→仮想通貨
- 換金時:仮想通貨→円
最初のコストは、日本円で仮想通貨を売買する段階で発生します。国内の仮想通貨取引所を利用する際には、取引手数料や販売所でのスプレッドなどの費用がかかります。
また、仮想通貨を購入してからブローカーに着金するまで、あるいはブローカーから取引所に着金するまでの間に市場が変動すれば、送金額の日本円換算値も変動します。ネットワークの混雑や承認待ちにより送金に遅延が生じることもあり、その間の価格変動が実際の入金額に影響を与える可能性があります。
さらに、ブローカーから受け取った仮想通貨を日本円に換金する際にも、売買スプレッドや取引手数料、送金時に発生したネットワーク手数料などが最終的な受取額を減少させる要因となります。
こうしたコストを抑えるためには、取引手数料が低く、送金速度の速い仮想通貨を選ぶことが有効です。たとえば、BITBANKでは送金速度の速いXRPの板取引が可能なため、「BITBANKでXRPを購入 → bybitへ送金しUSDTを購入 → USDTを海外FX業者へ送金」といった流れで、全体のコストを抑えることができます。
国内外の取引所はどう選ぶ?
国内取引所で最も気にすべきポイントは、取引コストです。国内取引所には取引所と販売所が用意されていますが、販売所の取引コストは非常に高く、おすすめできません。板取引(ユーザー同士が指値や成行で直接売買する方式)が可能な取引所なら、スプレッドが狭く手数料を最小限に抑えられます。そのため、できるだけ板取引ができる取引所で売買を行いましょう。
海外取引所を選ぶ際は、国際的な資金移動に関する規制(トラベルルール)に対応している取引所を選びましょう。顧客情報の透明性が確保されているため、入出金の遅延やアカウント凍結などのリスクを大幅に軽減できます。
仮想通貨の消失リスク
仮想通貨は同じ銘柄でも複数のブロックチェーン規格(ネットワーク)で発行されることが一般的です。たとえばUSDTひとつを取っても、Ethereum(ERC-20)、Tron(TRC-20)、BSC(BEP-20)などが存在します。
送金元と送金先でネットワークを誤ると、取引自体はブロックチェーン上で完了しているにもかかわらず、受取側がそのトークンを認識できず「着金しない」状態になります。多くの取引所では 「ネットワーク誤送金は原則として返金不能」と明示されており、消失した仮想通貨の復旧は極めて困難です。
また、XRP、XLM、BNB などはウォレットアドレスに加えて「Destination Tag」や「Memo」の入力が必須です。タグを付け忘れると着金先口座を判別できず、こちらも入金が保留されます。主要取引所は「タグなし入金の自己申請フォーム」を用意していますが、回復までに数日〜数週間かかり、状況によっては対応不能となる点に注意してください。
まずは海外FX業者で利用頻度の高いERC-20(Ethereum)とTRC-20(Tron)の2系統だけに絞って送金を練習するとミスを最小化できます。大きな金額を移す前に極小金額でのテスト送金を行い、正しく着金するか必ず確認しましょう。
bitwalletの今後は不透明|大切な資金を守るために早めの対策を!
改正資金決済法が施行されると、これまで当たり前に使えていた入出金方法が突然利用できなくなる可能性があります。さらに、手続きの煩雑化や送金手数料の大幅な増加といった想定外のコストが発生するリスクも否定できません。
海外FXを利用するトレーダーにとって、今回の法改正は見過ごせないテーマです。とくに、これまで国内銀行送金やbitwalletなどのオンラインウォレットを主要な入出金手段としていた方は、最新情報をこまめに確認し、万全の対策を取ることが求められます。
施行後に思わぬトラブルに巻き込まれないよう、本記事で解説した対策を今すぐ実践し、安心して取引できる環境を整えましょう。