トレード手法関連

「海外FXでファンダメンタルは必要?」
「ファンダメンタル分析をしたところでトレードの役に立たない」
ファンダメンタル分析は難しそうというイメージを持っているトレーダーも多いと思います。確かにファンダメンタル分析だけでトレードしても、すぐに利益につながることは少ないと思います。
エントリータイミングやエグジットポイントというような具体的な価格ポイントをファンダメンタル分析で知ることは限りなく難しいと思います。とはいえ、ファンダメンタル分析を無視していいというわけではありません。
ファンダメンタル分析は、「相場の大きな方向性」を考えるうえで重要です。
ところで、株式取引であれば、企業の財務状況やサービスなどいろいろな指標が用意されています。では、通貨の取引であるFXでは、どんなことに注目すればよいのでしょうか。
1つのポイントは、経済大国であるアメリカの経済状況や米ドルの動きに注目することです。また、私が活用している通貨強弱の考え方もあります。
今回の記事では、トレードに役立つファンダメンタル分析の考え方、実践的な方法について解説します。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
ファンダメンタル分析の3つのポイント
この章では、ファンダメンタル分析の3つのポイントについて紹介します。
3つのポイント
経済指標 | 該当国の経済状況を直接反映する重要項目。 |
金融政策 | 定期的に決定される「政策金利」が重要。 |
政治 | 通貨が発行されている国が安定しているかを確認する。 |
毎日のように数えきれないほどの経済指標が発表されています。トレードしようとしている国に関係する経済指標に加えて、USD(米ドル)の動きに影響する米国の主要経済指標は確認しておくと良いでしょう。
金融政策で重要なのは、「政策金利」です。定期的な会合で決定されますが、政策金利の調整があると、相場が大きく変動する傾向があります。
また、政治面で重要なのは、選挙や主要貿易国との関係性です。例えば、オーストラリアと中国の関係性は深いことで知られています。政治面で安定していると買われやすく、不安要素があると売られやすくなります。
それでは、ここからはそれぞれの要素を詳しく調べていきましょう。
経済指標
経済指標には、それぞれ重要度があります。全ての経済指標をチェックしてもいいですし、それでは大変ということであれば、重要度が高いのみチェックするという方法もあります。経済指標の重要度は、XMTrading(エックス エム)の経済指標カレンダーで確認できます。
「本日」の項目を押すと、その日発表の経済指標が表示され、牛のマークで重要度が分かります。
また、経済指標は主に3つのタイプに分類できます。米国を例に、牛のマークが3つついた重要経済指標をまとめてみました。
経済指標のタイプ
タイプ | 経済指標 |
---|---|
雇用環境 |
・ADP非農業部門雇用者数 (通称ADP雇用統計/第一週水曜日) ・非農業部門雇用数 (通称:米国雇用統計/第一週金曜日) |
金融政策 |
・FOMC声明 ・政策金利発表 ・FOMC記者会見 |
景気需要 |
・小売売上高 ・国内総生産 |
アメリカの雇用状況や景気動向は、FX市場のファンダメンタルに大きな影響を与えます。
経済指標で最も注目されるのが、「米国の雇用統計」です。1ヶ月の中で最も相場が注目する経済指標の1つです。政府が発表する雇用統計の前に民間企業が発表する「ADP雇用統計」というのがあります。政府が発表する雇用統計の前に、ある程度どんな数値が出てくるのか、予想できますね。
ただ、注意したいのはADP雇用統計と政府雇用統計に大きな差が出た場合です。サプライズと捉えられるので、ボラティリティが極端に大きくなる傾向があります。
また、日本時間の早朝(午前3:00~4:30)にFOMC後の政策金利の発表とFRB議長の記者会見があります。景気が回復しているときや政策金利調整への期待が高まっているときは、とりわけ注目されます。
FRB議長の発言1つ1つに反応するので、ドル円相場は乱高下してしまいます。このときは、どのようになるのか予想が付きにくいので、落ち着きを取り戻すまでトレードはしない方がよいと思います。
また、景気需要という項目で注目するのが「小売売上高」と「国内総生産(GDP)」です。数値が上昇すればするほど、景気が回復していることを示します。例えば、ドル円であれば上昇のファンダメンタル要素になりますね。
経済指標などのファンダメンタルズは、日々の株価の値動きにも反映されますので、ファンダメンタルズを知る材料として株価をチェックするのもいいでしょう。
世界の景気動向をみるポイントは「米国」です。GDPを含め、軍事力や経済面での影響も世界一位です。また、世界の基軸通貨であるUSDの発行権も保有していますね。米国の経済指標は「世界の体温計」ともいわれています。
そのため、ファンダメンタル分析に不可欠なのが、米国企業の株価、債券、USDの動きなのです。
政策金利の見通し
次に注目するのは、金融政策です。金融政策とは中央銀行が行う通貨の流通量を調整するための政策で、物価の安定を目的としています。とりわけ、FX市場で注目されるのは「政策金利」ですね。
唯一の通貨の発行権を持つ中央銀行が一般銀行に貸し出すときの金利。通貨が流通している国の基本的な金利となる。
景気が過熱しているときは、金融引き締めのために「金利の利上げ」が、景気が底冷えしているような状況では、金融緩和のために「金利の利下げ」が検討されます。
この政策金利を決定するのは、各国の中央銀行です。
金融政策を決定する中央銀行
日本 | 日銀(日本銀行) |
米国 | FRB(米連邦準備制度理事会) |
ユーロ圏 | ECB(欧州中央銀行) |
イギリス | BOE(イギリス中央銀行) |
政策金利の調整によって相場に影響を与えた例が2020年3月のコロナショックです。
例として、USD/JPYチャートで解説したいと思います。
2020年3月に発生したコロナショックで、金融市場は大混乱に陥りました。世界各国の往来が滞り経済活動が停止するため、株価や通貨が大暴落しました。そのため、米国FRBやECB、イギリスのBOEは緊急利下げ措置を行いました。
例えば、USD/JPY(ドル円)は、わずか1ヶ月の間に1500pipsの下落となりました。リーマンショックをはるかに上回る暴落です。この後、緊急会合が開かれ、米国の政策金利が0.10%に引き下げられたことで、USD/JPYが急上昇しました。特殊な例ですが、政策金利によってドル円相場の安定化が図られた例です。
政策金利は、金融当局から正式に発表されますが、金利はFXにとっても重要な要素なので、政策金利を決定する会合に参加するメンバーの発言も報道され、市場参加者はそうした発言から政策金利の今後の見通しを推測します。政策金利の発表だけでなく、このような報道や市場参加者の推測についても、注目してみるといいでしょう。
政治ニュース
武力衝突や貿易戦争など、政治面でトラブルが起きると、FXにも影響が起きます。
例えば、2020年1月には、イランが米軍のイラク基地に攻撃を開始したとの報道を受けて、4時間で100pips程度下降しました。
その後、事態の収束の見通しが立ったことから、ドル円のレートは急回復しました。このように、政治的情勢が絡む出来事は、経済指標のように毎日発生するわけではないものの、大きな値動きを発生させる場合があります。
値動きに関係する政治ニュースは、ロイター通信やブルームバーグなどで確認できます。
通貨ペアとCFD銘柄の相関性を調べてみる
株価や債券市場、GOLDや原油の動きは、FX市場に影響を与えるファンダメンタル要素の1つです。代表的な関連性を解説していきます。
株価と連動する通貨ペア
世界で最も注目される株価指数がダウ平均株価(US30)です。アメリカの有力企業30社の平均株価を示しています。米国の株価の動きに影響を受けやすいのが「ドルストレート通貨」です。
US30(ダウ平均株価)とUSD/JPYチャートの相関性を確認してみます。USD/JPYの日足チャートにUS30(青の線)を重ねてみました。
これまでダウ平均株価とドル円は相関性が高く、ダウ平均株価が上昇するとドル円も上昇するという流れになっていました。しかし、コロナショック後には、ダウが下降しているときにドル円が上昇したり、ダウが上昇しているときにドル円が下降する逆相関の関係がみられます。
通常、米国の株価が上昇すると、USDがJPYよりも買われやすくなり、USD/JPYは上昇します。しかし、コロナ後に有事のドル買いが広がったことや、その後の米国の大規模な金融緩和によりドルが売られたことなどにより、従来の状況とは変化しました。順相関・逆相関のいずれになるかは金融政策などの状況によりますが、どちらであっても株価とFX市場には密接な関係がある場合が多いので、チェックしてみてくださいね。
商品銘柄と連動する通貨ペア
ここでは先物市場と通貨ペアの意外な関係性を解説します。例えば、ニュースでもよく耳にする「原油(Oil)」です。
「原油」と聞くと中東地域を連想する方も多いと思いますが、最も注目されているのはニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているWTI原油先物(WTI Oil)です。
そして、原油価格に最も影響を受けるのが「カナダドル(CAD)」です。カナダドルは資源国通貨としての側面を持ち、原油価格の影響を受けやすいという特徴があります。
以下はCAD/JPY(カナダドル円)に原油チャートを重ね合わせた日足チャートです。
原油相場との相関性が非常に高いことが分かりますね。
原油価格がカナダドル相場の先行指標になる場合があります。原油価格が上昇しているのにカナダドルの変動がほとんどない場合は、数日のうちに大きく変動する可能性があるということです。
原油だけでなく、オーストラリアドルは鉄鉱石、石炭の価格と連動するなど、 商品銘柄とFX銘柄にはさまざまな相関性があります。
ファンダメンタル分析の実践方法
ここでは、実際にどのようなファンダメンタル分析をするのか、具体的な方法を解説していきます。
ファンダメンタルズは、その日の方向性の傾向としてトレード開始前に把握しておき、具体的なエントリータイミングは、テクニカル分析や通貨強弱などで決定するのがおすすめです。ファンダメンタルズとテクニカル分析の方向性が一致したときは、より確信を持ってトレードができます。
金融政策をチェックする
政策金利の見通しを確認します。
2020年11月の執筆時点で、ほとんどの主要国は低金利になっています。今後の見通しですが、Covid-19(新型コロナウィルス)の影響が収束するまでは、政策金利を変更することはないでしょう。
人の往来が再開され経済活動の制限がなくなれば、経済活動に弾みが付きます。その後、政策金利の引き上げが検討されるという流れになります。
該当通貨の政策金利決定会合後に開催される議長の記者会見に注目しましょう。
景気動向はどうなっているか
2020年~2021年にかけての重要なテーマは、「経済活動が正常になるか」です。Covid-19のワクチン接種が始まり、ロックダウンや移動制限がなくなれば、株価も上昇し、リスクオンの動きにつながります。
GBP/JPY(ポンド円)、EUR/JPY(ユーロ円)であれば、上昇=リスクオンの動きとなります。また、米国の雇用統計や各国の国内総生産(GDP)などの経済指標も注目です。
また、トレードする前日の株式市場の動きに注目しましょう。やはり注目するべきなのはダウ平均株価ですね。
テクニカル分析などでトレードタイミングを測る
トレードタイミングを測る手法として、ここでは「通貨強弱」を紹介しますが、お好きな手法で構いません。
MetaTrader4(MT4)/MetaTrader5(MT5)を開発したメタクオーツが運営するコミュニティサイト、MQL5コミュニティで販売されているカスタムインディケータをを使用します。
記事執筆時点では無料版が提供されていましたが、現在は有料版($75)のみの提供となっています。
MQL5コミュニティからインディケータをダウンロードする方法
通貨強弱の見方は以下のとおりです。
強い | 該当通貨が買われやすい相場 |
弱い | 該当通貨が売られやすい相場 |
「FX Power」をGBP/JPY 1時間足チャートに表示させてみました。
上記のチャートでは、GBP(赤い線)が6.0以上になり、JPY(オレンジ線)が3.0以下になったときにGBP/JPYが上昇しています。つまり、GBP(ポンド)がJPY(日本円)よりも買われやすくなったからですね。
通貨ペアの通貨強弱の差(ドット線)が6.0以上になると、トレンドが発生しやすくなります。
このFX Powerについては、筆者のYouTube個人チャンネルで詳しく解説をしています。
通貨強弱を把握できれば、最適な通貨ペアを選択できるようになりますので、ぜひFX Powerをインストールしてみてください。
通貨強弱について詳しくは以下の記事で詳しく解説しています。
(まとめ)ファンダメンタルとテクニカルを使い分ける
ここまでファンダメンタル分析について詳しく解説してきました。
ファンダメンタル分析は難しいというイメージがありますが、FX取引のファンダメンタルは株式取引よりも分かりやすいと思います。
通貨を発行している国の景気がよいのか、貿易相手国と良好な関係を築けているのかなどを把握して、長期的に相場がどのように進むか予想してみましょう。
ただ、ファンダメンタル分析だけでトレードするのは難しいため、テクニカル分析と組み合わせることが大切です。
テクニカル分析とファンダメンタル分析をして、どちらも同じ方向を示しているときにトレードするのが、勝率を上げるコツです。
海外FXでは、MetaTrader4(MT4)/MetaTrader5(MT5)でダウなどの銘柄を同時に表示できるため、株価などを参考にトレードするのにも向いています。