海外FXテクニカル分析

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通貨強弱の判断方法はいくつかありますが、中でもインジケーターを使った分析は比較的手軽に行える手段の1つです。通貨強弱インジケーターは、相対的な通貨の強弱を視覚的に表示できるため、FX初心者でも行いやすいでしょう。
通貨強弱を把握することで、全体的な相場状況の把握に役立てることができます。さらに他のテクニカル指標を組み合わせることで、実践的なトレードに通貨強弱の分析を組み込むことが可能です。
この記事では、通貨強弱とは何かや、インジケーターを使用した分析方法を分かりやすく解説します。

この記事の目次
FXの通貨強弱とは
FX通貨ペアは2つの通貨から成り立ちますが、強弱関係はさまざまな理由によって変化し、レートに影響を及ぼします。
まずは、通貨強弱の基礎知識や、通貨強弱が発生する理由を見ていきましょう。
通貨強弱は「どの通貨が買われているか」を判断する指標
通貨強弱とは、ある通貨が他の複数の通貨に対して、相対的にどの程度買われているか、または売られているかを示す指標です。
FXは通貨と通貨の交換なので、一方の通貨がもう一方に比べて買われると、その通貨ペアの価格は変動します。レンジ相場とは、通貨強弱が拮抗し、価格が一定の範囲内で上下を繰り返す状態です。それに対して、通貨強弱に明確な差が出た場合には、トレンドが発生しやすくなります。
そのため、通貨強弱を分析することは、通貨ペアのトレンド状態の把握に役立つだけでなく、トレンドフォローの際に取引しやすい通貨ペアの絞り込みにも使える場合があります。
通貨強弱は複数の理由が関係して発生する
通貨強弱の発生には、以下のような理由があります。
通貨強弱が起きる理由
金利差の拡大など、ファンダメンタルズの要因は通貨の強弱を引き起こす原因として分かりやすいでしょう。例えば、2022年からの円安は、日米の金利差拡大や、日本の貿易収支の悪化などが主な要因とされています。
また、テクニカルの要因によって通貨の強弱が加速することもあります。例えば、長期的に意識されているレジスタンスラインやサポートラインを突破することで、値動きに勢いがつき、トレンドが発生することは珍しくありません。
通貨の強弱が生じる背景には、ファンダメンタルズとテクニカルの両方が関係しているといわれています。ファンダメンタルズに基づくトレンドの方向へ価格が動き出すきっかけとして、テクニカルな要因が絡むことも多いため、トレードにおいては両面に注目すべきでしょう。
通貨強弱をインジケーターで分析する方法
通貨強弱を分析するには、ファンダメンタルズ分析で行う方法と、テクニカル分析で行う方法の主に2種類があります。
中でも最も取り組みやすいのが、インジケーターを利用した通貨強弱の分析方法です。通貨強弱インジケーターでは、複数の通貨ペアの値動きから視覚的にかつ直感的に通貨強弱を判断できるので、初心者にもおすすめの方法でしょう。
ここからは、無料で使える通貨強弱インジケーターの「Absolute Currency Strength」について、ダウンロード方法や使い方を解説していきます。
Absolute Currency Strengthのダウンロード・インストール方法
今回、通貨強弱の分析に使用するのは、「Absolute Currency Strength」というカスタムインジケーターです。Absolute Currency Strengthは、MetaQuotes社のMQL5マーケットで無料公開されており、MT4 / MT5から直接ダウンロード・インストールが可能です。
MQL5マーケットを利用するにはアカウント登録が必要ですが、Googleアカウントでもログイン可能となっており、手続きは難しくありません。MQL5アカウントの登録方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
MT5でのインストール手順
MT5を開いたら、右上の人物マークを選択し、ログインIDとパスワードを入力してMQL5にログインします。
上部メニューから「ツール」→「MQL5市場」を選択します。
マーケットウィンドウが開くので、検索ボックスに「Absolute Currency Strength」と入力し検索します。
「Absolute Currency Strength」を開き、「ダウンロード」を選択します。
マーケットウィンドウを閉じて、次は「ナビゲータ」を開きます。「Market」内に、先ほどダウンロードした「Absolute Currency Strength」が追加されています。
右クリックしチャートに追加するか、ドラッグ&ドロップで表示させたいチャートに設定しましょう。
通貨強弱インジケーターは他にもいくつかの種類があるため、興味のある方は他のインジケーターにも挑戦してみて下さい。
通貨強弱インジケーターの基本的な使い方
今回使用するAbsolute Currency Strengthでは、チャートウィンドウの下に最大8つの通貨の強弱が数値とラインで表示されます。表示できる通貨は「EUR / USD / GBP / JPY / CAD / CHF / AUD / NZD」の8種類ですが、最小2種類まで絞って表示することも可能です。
以下は、実際のドル円の日足チャートにAbsolute Currency Strengthを設定した画像です。今回は分かりやすくするために、インジケーターにはUSDとJPYだけを表示しています。
通貨強弱はグラフのような形で表示されます。強くなればグラフは上昇し、弱くなれば下降を見せます。
2通貨の強弱関係は鏡像のような形になるため、グラフの間隔によって通貨強弱の差を捉えることが可能です。2本のグラフのように表示されている2通貨の通貨強弱について、基本的な見方は以下のようになります。
通貨強弱インジケーターとトレンドの関係
グラフが拡散しつつある | 通貨強弱の差が開き始め、トレンドが発生する可能性がある |
グラフが拡散している | トレンドがすでに発生して、続いている |
グラフが収束しつつある | それまでのトレンドの勢いがなくなってきている または、通貨強弱が入れ替わることで、トレンド転換の可能性がある |
グラフが収束している | 通貨強弱の差が少なく、トレンドや方向感がない |
グラフが拡散しつつある |
通貨強弱の差が開き始め、 トレンドが発生する可能性がある |
グラフが拡散している |
トレンドがすでに発生して、続いている |
グラフが収束しつつある |
それまでのトレンドの勢いがなくなる または、通貨強弱が入れ替わることで トレンド転換の可能性がある |
グラフが収束している |
通貨強弱の差が少なく トレンドや方向感がない |
通貨強弱インジケーターは、発生した値動きに基づいて計算されているため、先行指標ではありません。相場の流れを把握することには適していますが、将来の値動きを完全に予測することはできないので、注意が必要です。
通貨強弱インジケーターでトレンド分析する方法
通貨強弱インジケーターはチャートウィンドウの下に表示されるため、一見するとオシレーターのように見えるかも知れません。しかし一般的に通貨強弱インジケーターは、複数の通貨ペアの値動きから相対的な通貨の強弱を算出しており、オシレーターとは性質が異なります。
しかし、オシレーターと同じように、ダイバージェンスを確認したり、グラフがクロスするポイントからトレンド転換を捉えたりすることが可能な場合があります。
イバージェンスとは、値動きとオシレーターの動きが逆行する現象を指します。例えば上昇トレンドの最中で、値動きでは高値を更新したのにオシレーターが高値を切り下げた場合、トレンドの勢いが弱まっていることのサインと捉えられます。
以下は、ドル円の日足にAbsolute Currency Strengthを設定した画像です。通貨強弱インジケーターを分析することで、トレンド転換点を捉えられる場合があります。
①部分は上昇トレンドが形成されていますが、通貨強弱インジケーターを見ると、ダイバージェンスのような形が発生しており、次第にUSDが弱くなっていることが分かります。「トレンドは続いているが転換が近いかも知れない」と考えることができるでしょう。
②では上昇トレンドが継続していますが、通貨強弱インジケーターではUSDとJPYが入れ替わっており、それ以降は下降トレンド(JPYのほうが強い状態)へと移行していきました。
通貨強弱インジケーターは過去の値動きに基づく遅行指標ですが、上記チャートで見たように、トレンド状態の把握に有効な場合があります。
通貨強弱インジケーターはMTF分析にも使える
通貨強弱をインジケーターで把握する場合、同じ通貨ペアでも時間軸によって強弱が異なります。その性質を利用することで、マルチタイムフレーム分析(MTF分析)ができる場合があります。
マルチタイムフレーム分析(MTF分析)は、1つの銘柄について複数の時間軸を確認する分析手法です。トレードする時間足だけでなく、上の時間足(上位足)の相場環境やトレンド状況を把握することで、トレード精度の向上を目指します。
以下は、ドル円について、日足、1時間足、15分足を表示したものです。
各時間軸で通貨強弱が異なっていることが分かります。上記チャートの場合は、日足で通貨強弱が拮抗していることや、下位足では短期的にトレンドが入れ替わっていることなどが分かるでしょう。複数の時間軸で相場状況を確認する際にも、通貨強弱インジケーターは利用可能です。
通貨強弱インジケータを活用したトレード手法
ここからは、通貨強弱インジケーターとトレンド系指標を組み合わせたトレード手法を解説していきます。
トレンド系指標と組み合わせて使う
今回は、通貨強弱インジケーターである「Absolute Currency Strength」に加えて、GMMAを組み合わせて使用します。通貨強弱は相場状況の把握には適していますが、エントリータイミングを取ることは少々苦手とするため、他のインジケーターと組み合わせてトレードすることがおすすめです。
GMMAは、複数の移動平均線を使用し、トレンドの向きや強さを視覚的に判断できるインジケーターです。MT4 / MT5のデフォルトでは搭載されていないので、入手の際はMetaQuotes社のMQL5マーケットなどをご利用下さい。今回は、MT5用GMMAの「Guppy Zones」というカスタムインジケーターを使用します。
GMMA以外でも、移動平均線やボリンジャーバンド、一目均衡表の雲などトレンドフォロー系の指標が利用できますが、自分自身が使い慣れたものを利用すると良いでしょう。
通貨強弱とGMMAでエントリーを狙う手法
続いて、通貨強弱の差ができるタイミングとGMMAでエントリーを狙う手法を見ていきます。
以下は、通貨強弱インジケーターとGMMAを表示させた、ドル円15分足のチャート画像です。このチャート画像を元に、エントリーポイントを検討してみましょう。
GMMAには、短期GMMA(水色)と長期GMMA(ピンク色)の2つの帯があります。基本的には長期GMMAを軸として、短期GMMAとの位置関係によってエントリータイミングを取ることができます。
①では、通貨強弱としては円高ドル安方向にグラフが開きつつあり、さらにGMMAも売りが優勢であると示しています。安値を割るタイミングや陰線が確定したタイミングなどで売りエントリーを考えることができます。
②では、グラフがクロスしており、通貨強弱の入れ替わり(トレンド転換)が示唆されています。さらにGMMAも短期とレートが長期を上に抜けてきており、買いが優勢になってきたことが分かります。この場合も、グラフのクロスや長期GMMAの上抜けが確定したタイミングで、買いエントリーを考えられるでしょう。
通貨強弱を考慮した損切り・利食い方法
トレードでは、損切りや利食いの計画を事前に立てておくことが重要です。通貨強弱インジケーターは直接的なポジション管理には不向きな面がありますが、GMMAなどのトレンド系指標を活用してその点を補うことができるでしょう。
エントリー時の損切り設定ですが、基本的には長期GMMAを目安として設定可能です。例えば売りエントリーする場合は、長期GMMAに抑えられた高値の上に損切りを設定します。
また基本的な利確ポイントは、通貨強弱インジケーターでダイバージェンスが発生したときや、レートが短期GMMAを抜けたタイミングなどが考えられます。
このトレード手法で大事なことは、2つのインジケーターが示す優位性を理解し、トレードすべきタイミングをきちんと待つ、ということでしょう。トレードチャンスはそれほど多くないので、自信のない相場には手を出さずに待つことが大事です。
通貨強弱のトレードでおすすめの海外FX業者
通貨強弱インジケーターはMT4 / MT5で活用できるため、多くの海外FX業者で通貨強弱を分析したトレードが可能です。
今回は、その中でも特に通貨強弱トレード向きのサービスを提供している海外FX業者3社をご紹介します。
XMTrading
XMTrading(エックスエム)は、高い信頼性に加えてボーナスキャンペーンが充実しており、初心者から経験者まで利用しやすいトレード環境を提供している海外FX業者です。
現在XMでは、FXplusから新規口座開設するユーザー限定で、15,000円の口座開設ボーナスを提供しています。さらに、ゴールドステータスも付与されるWキャンペーンとなっており、優れた条件で取引を開始するチャンスといえるでしょう。
XMは、ボーナスを活用し少ない自己資金から通貨強弱を分析したトレードを初めてみたい方におすすめです。
Titan FX
Titan FX(タイタン FX)は、低スプレッドと約定力により高い評価を獲得している海外FX業者です。
Titan FXでは、公式サイト内の「タイタンFX研究所」で、Titan FXユーザーであれば無料で利用できるEAやカスタムインジケーターを提供しています。本記事でご紹介したGMMAも提供されているので、通貨強弱の分析に興味のある方はぜひ利用してみて下さい。
FXON
FXON(エフエックスオン)は、2025年からサービス提供を開始した新鋭海外FX業者です。
AIによるディーリングの完全自動化によって、ドルストレートやクロス円で最小0.0pipsという驚異的なスプレッドを実現しています。また、会員が利用できるクライアントポータルでは、取引結果からドローダウンなどの分析が簡単に行えるようになっており、従来の海外FX業者とは一線を画すサービス内容も注目すべきでしょう。
またFXONでは、公式サイト内にある「トレーダーズマーケット」で、毎日配信の「相場レポート」と、毎週月曜日配信の「FXON流 マーケット分析」を公開しています。ファンダメンタルズ的な視点からも通貨強弱を分析したい方は、FXONのトレーダーズマーケットをチェックしてみてはいかがでしょうか。
通貨強弱を読み解き、一歩先のFXトレーダーを目指そう
FXの基本は、通貨強弱のバランスなので、相対的に強い通貨が買われ、弱い通貨が売られるという特徴があります。
通貨強弱を分析することで、どちらの方向に価格が進みやすいのかを判断する手がかりを得られます。今回はインジケーターを利用した通貨強弱の判断方法をご紹介しましたが、他のトレンド系インジケーターと組み合わせることで、実践的なトレードに活用できるでしょう。