オーダー・約定関連

「ハイレバレッジ」と聞くと「リスクが高い」というイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、危険なのはハイレバレッジ自体ではなく、資金量に見合わない大きなポジションを持つことです。実際には、ハイレバレッジには強制ロスカットされにくいというメリットしかありません。
海外FX業者がハイレバレッジとしてアピールしているのは「最大レバレッジ」なので、実際に保有するポジションを調整することで「実効レバレッジ」はトレーダーが自由に調整できます。
この記事では以下の3つの点の答えを探してみましょう。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)

この記事の目次
レバレッジはテコの原理
レバレッジとは
レバレッジは、「テコ」を意味する英語の「Lever(レバー)」から派生して生まれた言葉です。FXの中でレバレッジとは、小さな力を使って大きなものを動かす「テコ」という意味の通り、「少額の資金(小さな力)を取引証拠金としてFX業者に預け入れ、大きな資金(大きなもの)を動かせる仕組み」を表しています。
FXは、このレバレッジを利用してトレードを行っています。例えば、ドル円のロング(買い)を1万通貨持っている場合で考えて見ましょう。「通貨」というのは、ドル円の場合ドルの量ですので、1万ドルを保有していることになります。通常であれば、1万ドルを保有するには、1ドル=100円として100万円が必要です。しかし、これがレバレッジ100倍であれば、1万ドルを保有するのに100分の1の100ドル(1万円)しか必要ではなくなります。レバレッジが400倍であれば、わずか25ドル(2,500円)です。レバレッジ次第で、同じドル円1万通貨を保有するために必要な金額が変動しますが、これがFXの「証拠金」という考え方です。
そのため、トレーダーは、レバレッジの高いFX業者を利用すると、口座残高の何倍ものポジション量でトレードができるのです。国内FX業者の最大レバレッジは、規制により個人口座は25倍と決まっていますが、海外FX業者であれば500倍や1,000倍など、国内FX業者と比較してはるかに高いレバレッジが提供されています。
レバレッジにより、口座に預け入れた資金より大きなポジションが持てる。
最大レバレッジと実効レバレッジ
日本人に人気の海外FX業者は、400倍以上のレバレッジを提供していることが多いです。当サイトがおすすめしているXM Trading(エックスエム)はレバレッジが特に高く、最大1,000倍のレバレッジを提供しています。
但し、最大レバレッジは「その口座でどれほどのレバレッジを掛けられるのか」ということを示しているだけで、実際にそのポジションでトレードする必要はありません。実際にトレードするレバレッジを「実効レバレッジ」といいます。
最大レバレッジ | 預けた資金の最大何倍のポジションを持つことが可能かを示す数字。 海外FX業者が設定している。 |
実効レバレッジ | 実際にどれくらいのレバレッジでトレードしているかを示す数字。 トレーダーが自分で調整できる。 |
最大レバレッジ |
預けた資金の最大何倍のポジションを持つことが可能かを示す数字。海外FX業者が設定している。 |
実効レバレッジ |
実際にどれくらいのレバレッジでトレードしているかを示す数字。トレーダーが自分で調整できる。 |
この実効レバレッジはトレーダーの資金とポジション量によって決まるので、トレーダー個人のリスクの許容範囲に合わせて調整できます。ですから、最大レバレッジが大きい=危険とはいえません。
例えば、口座資金が10万円の場合(1ドル=100円)、最大レバレッジが400倍であれば、最大で約40万通貨(40万ドル)のポジションを持つことができます。40万ドルというと、日本円で4,000万円の大金です。
一方で、実際のポジションを1万通貨に抑えた場合、トレード可能な量の40分の1のポジションを持っていることになります。この場合、実効レバレッジは10倍となります。
「最大レバレッジが高い業者=危険」ではない。
ハイレバレッジは危険か?国内FXと比較してみた
国内でハイレバレッジが危険と言われる理由
海外FXと国内FXの違いに「ゼロカットシステム」があります。ゼロカットシステムとは、相場の急激な変動によってロスカットが間に合わず口座残高以上の損失が発生した場合、FX業者がトレーダーの損失を補てんする仕組みのことです。ほとんどの海外FX業者はゼロカットシステムを導入していますが、日本の金融ライセンスを保有するFX業者でゼロカットシステムを導入している業者はありません。日本の法律(金融商品取引法第39条)では、ゼロカットシステムが禁止されているからです。
口座残高以上の損失が出た場合、国内FX業者を利用しているトレーダーは 「追加証拠金(追証)」を支払う必要があります。実際にスイスフランショックが起こったときは、マイナス残高になってしまったトレーダーが「追証」を支払わなければいけない事態となりました。通常の相場では、一定の証拠金維持率を下回った場合にFX業者側が決済を行う強制ロスカットがありますので、損失は口座内の資金の範囲に収まりますが、相場が激しく変動するときは強制ロスカットが間に合わない場合があります。そうした事態になった場合は、レバレッジが高いほど追証(借金)の額も大きく膨れ上がってしまうのです。
損失が膨らみ、口座の証拠金維持率が一定の割合を下回ると、FX会社側がポジションを強制決済する仕組み。
国内FX (レバレッジが低い) |
・口座残高を失うリスク
・強制ロスカットが間に合わなかった場合、追証を求められる(金融庁発表の統計によると数千万の追証を求められたケースもある)
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海外FX (レバレッジが高い) |
・国内FXよりも大きなサイズのポジションを持てるため、逆行した場合に失う資金も大きい
・口座残高を上回る損失が出てもゼロカットシステムにより追証を求められない
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国内FX (レバレッジが低い) |
・口座残高を失うリスク
・強制ロスカットが間に合わなかった場合、追証を求められる(金融庁発表の統計によると数千万の追証を求められたケースもある)
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海外FX (レバレッジが高い) |
・国内FXよりも大きなサイズのポジションを持てるため、逆行した場合に失う資金も大きい
・口座残高を上回る損失が出てもゼロカットシステムにより追証を求められない
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レバレッジの高い海外FXの方が、大きなサイズのポジションを持つことができ、逆行した場合に失う資金も多いため、ハイレバレッジ=危険というイメージだけが浸透しているのかもしれません。しかし、実効レバレッジはトレーダーが自由にコントロール可能であり、ハイレバレッジの海外FX業者を使うことが一概にリスクであるとは言えません。
一方で、ほとんどの海外FX業者はゼロカットを導入しているため、国内FXのようにハイレバレッジによって高額な追証(借金)を負うリスクがないというメリットがあります。確かに、資金量に見合わない過剰なレバレッジの設定は、証拠金をあっという間に失ってしまう大きな原因の一つです。リスクの許容範囲内でポジションを持つなど、リスク管理がとても大切です。とはいえ、ゼロカットシステムがあるので入金額以上の損失はないことを考えると、レバレッジを過度に心配する必要はありません。
海外FXのレバレッジと国内FXのレバレッジを比較してみた
実際の海外FX業者と国内FXのレバレッジの違いによって、どれぐらいトレードのパフォーマンスが違ってくるのか比較してみたいと思います。
以下に主要海外FX業者の最大レバレッジをまとめてみました。
主要海外FX業者の最大レバレッジ
海外FX業者 | 国内FX業者 | |
---|---|---|
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1,000倍 (ゼロ口座は500倍 ) |
最大25倍 (法人口座を除く) |
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500倍 | |
![]() |
1,000倍 |
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1,000倍 (ゼロ口座は500倍 ) |
![]() |
500倍 |
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1,000倍 |
国内FX業者 | 最大25倍 (法人口座を除く) |
海外FXは最大レバレッジもそれぞれ異なっています。一方、国内FX業者は法人口座を除くと、規制により最大レバレッジの上限が25倍に固定されています。
最大レバレッジの違いは、ポジションを持つ際の必要証拠金の違いとして表れます。必要証拠金とは、ポジションを保有するために最低限必要な証拠金のことです。
ここで、ドル円(1ドル = 150円)を1万通貨を取引する場合の必要証拠金を、最大レバレッジごとに比較してみましょう。
最大レバレッジごとの必要証拠金比較
国内FX業者 | ![]() |
![]() |
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---|---|---|---|
最大レバレッジ | 25倍 | 500倍 | 1,000倍 |
必要証拠金 | 6万円 | 3,000円 | 1,500円 |
最大レバレッジ | |
国内FX業者 | 25倍 |
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500倍 |
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1,000倍 |
必要証拠金 | |
国内FX業者 | 6万円 |
![]() |
3,000円 |
![]() |
1,500円 |
最大レバレッジが大きくなるほど、同じ量のポジションを持つのに必要な証拠金が少なることが分かります。必要証拠金が少なくなることで、より小額から取引が可能になったり、ロスカットされにくくなったりなどのメリットを得られます。
さらに最大レバレッジが上がり必要証拠金が少なくなると、多くのポジションを持つことができます。このため、他の通貨ペアや銘柄に分散投資がしやすくなる点もメリットです。
しかし、海外FXの非常に高い最大レバレッジは、より大きなポジションを持ててしまう危険性と隣り合わせともいえます。感情的な取引や、無計画なロット設定を行うと、大きな損失につながってしまうリスクがある事は十分に理解が必要です。
次の章では、ハイレバレッジの強みと注意点について解説していきます。
レバレッジの強みと注意点を知れば過度に心配する必要なし
ハイレバレッジによって柔軟なトレードができる 【強み】
最大レバレッジが大きくなるほど、トレードの幅も広がります。数万円の証拠金であってもトレードが可能ですし、まとまった資金でリスクを抑えたトレードをすることも可能です。例えば、数秒から数分単位で行うスキャルピング、1日の中でトレードを完結させるデイトレード、数日単位でポジションを保有するスイングトレードというようにトレードスタイルによって適切な実効レバレッジのレベルは異なります。最大レバレッジというのは、実効レバレッジが許容される範囲を示す数字なので、最大レバレッジが高ければより自由なトレードが可能になります。
- 最大レバレッジ25倍の国内FX業者は、必要証拠金も多くいるため数十万円以上の証拠金がないと柔軟なトレードがしにくい。
- 最大レバレッジが大きい海外FX業者であれば、少額の資金(10万円程度)でも、トレーダーのリスク許容量、トレードスタイルによってポジション量を決められる。
ハイレバレッジになるほど損益の変動幅が激しい【注意点】
ハイレバレッジになるほど、保有するポジションの量を大きくできるため、損益の変動幅も激しくなります。例として、XM Tradingのスタンダード口座(最大レバレッジ1,000倍)で比較してみましょう。口座残高10万円で1万~66万通貨のポジションを持った場合、実効レバレッジと1Pipsの損益の変動額は次の通りです。
ポジション量と1Pipsの変動差比較表(米ドル円 = 150円)
ポジション量 | 実効レバレッジ | 1Pipsの損益の変動額 |
---|---|---|
1万通貨 | 15倍 | 100円 |
5万通貨 | 75倍 | 500円 |
10万通貨 | 150倍 | 1,000円 |
35万通貨 | 525倍 | 3,500円 |
50万通貨 | 750倍 | 5,000円 |
66万通貨 (非推奨) |
990倍 | 6,600円 |
実効レバレッジ:15倍 | |
ポジション量 | 1万通貨 |
変動額 | 100円 |
実効レバレッジ:75倍 | |
ポジション量 | 5万通貨 |
変動額 | 500円 |
実効レバレッジ:150倍 | |
ポジション量 | 10万通貨 |
変動額 | 1,000円 |
実効レバレッジ:525倍 | |
ポジション量 | 35万通貨 |
変動額 | 3,500円 |
実効レバレッジ:750倍 | |
ポジション量 | 50万通貨 |
変動額 | 5,000円 |
実効レバレッジ:990倍 | |
ポジション量 | 66万通貨(非推奨) |
変動額 | 6,600円 |
実効レバレッジが大きくなるほど、1Pipsの損益幅も大きくなり、大きな利益を得られるチャンスとなります。但し、価格が逆行したときの損失も大きくなりますので、過度に高い実効レバレッジにならないようにリスク管理を行いましょう。
FX取引の中で使用される単位で、通貨ペアの価格の変動を示す数値です。例えば、ドル円だと110.000から110.010に値動きした場合が「1Pips」となります。
リスク管理をしてレバレッジを上手に活用しよう
ハイレバレッジを上手に活用するポイントは「リスク管理と事前のトレード計画」です。トレードスタイルによっても異なりますが、リスク管理を簡単にする方法をご紹介します。
トレード前に考えよう!4つのリスク管理ポイント
1.トレードスタイル(スキャルピング・デイトレード・スイングトレード)
→トレードスタイルによって利確や損切りまでの一般的なPips数が変わる
2.ポジション量
→ポジション量が大きくなれば、Pipsの変動が同じでも損益額は大きくなる
3.どの程度のリスクを受け入れるか
→損切りした場合の金額を資金の2%以内に抑えるのが最適といわれる
4.リスク(損切り)幅と比べてどの程度の利益を目指すか
→リスク幅の2倍以上(「リスクリワードが1:2」と表現します。)が良いと言われるがトレードスタイルにもよる
レバレッジ=危険ではなく、証拠金ギリギリまでポジションを保有してしまうことがリスクの原因です。例えば、負けトレードが続いてしまったときに無理に損失を取り戻そうとして、過剰なレバレッジを掛けてしまうというのは、トレーダーの間でよくある失敗です。
レバレッジに制限がかかる場合
高いレバレッジを提供している海外FX業者ですが、大きな政治イベントがある場合などは一時的にレバレッジが制限される場合があります。口座残高によってレバレッジが制限されるフローティングレバレッジ方式を導入している海外FX業者もあります。フローティングレバレッジ方式とは、トレーダーの口座残高等の条件によってレバレッジが変動する仕組みのことです。
口座残高によってレバレッジが制限される場合
海外FX業者の多くが、口座残高が増えた際に過剰な損失リスクから顧客資金を守るため、段階的にレバレッジ制限を行っています。
一例として、XM Tradingでは以下のようなレバレッジ制限が行われています。
XMのレバレッジ制限
口座残高(USD) | 最大レバレッジ |
5~40,000(※) | 1,000倍 |
40,001~80,000 | 500倍 |
80,001~200,000 | 200倍 |
200,001〜 | 100倍 |
ゼロ口座は5~80,000ドルで最大レバレッジ500倍になります。
しかし、全ての海外FX業者が口座残高によるレバレッジ制限を行っているわけではなく、例えばTitan FXのように口座残高によるレバレッジ制限がない業者もあります。
海外FX業者ごとのレバレッジの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ボラティリティの高い相場が事前に予測される場合
ボラティリティが高くなる相場が想定される政治イベント(選挙等)の前には、一時的にレバレッジが制限される場合があります。
XM Tradingは、2019年の英国総選挙の時期に、ポンド関連の通貨ペアの全てのポジション(新規ポジションと既存ポジションの両方)のレバレッジを200倍に制限しました。
また、Titan FXは、2016年に行われた英国のEU離脱の是非を問う国民投票の際に、ポンド関連の通貨ペアの全てのポジション(新規ポジションと既存ポジションの両方)のレバnレッジを100倍に引き下げました。
レバレッジ規制をするかしないかは、各海外FX業者によって異なります。XM Tradingは比較的頻繁にレバレッジ規制を行っていますが、Titan FXなどは2016年のBrexit以降にレバレッジ制限は行っていないようです。XM Tradingがレバレッジ制限をした2019年英国選挙の際もTitan FXはレバレッジ制限をしませんでした。
レバレッジ制限される場合、新規ポジションだけでなく、保有ポジションにも同じように制限がかかる場合があります。大きな政治イベントが予定されているときは、ポジションの管理に注意して、各社の新着ページでレバレッジ制限の予定がないか調べてみましょう。
ハイレバレッジが危険なのではない
ここまで解説してきましたが、ハイレバレッジ自体が危険なのではありません。ハイレバレッジを提供している海外FX業者であれば、少額の資金でも柔軟なトレードができるというメリットがあります。また、多くの海外FX業者ではFX通貨ペアに加えてCFDなども取引できますので、分散投資がしやすいでしょう。
一方で、過剰なレバレッジを掛けすぎると口座残高を急激に減らしてしまうなどの注意点もあります。トレーダーの裁量が多い分、リスクもありますので事前にトレード計画を立てておくと良いでしょう。
ハイレバレッジを提供する海外FX業者では、国内FXよりも柔軟なトレードができる環境が整っていますと言えます。また、海外FX業者は、ハイレバレッジだけでなく、ボーナスやスプレッドなど、各社によってサービスの特色の違いが大きいです。最新の海外FX業者人気ランキングも参考にしながら、自分のトレードスタイルに合った業者を選びましょう。
編集部の
コメント
FX業者の提供する最大レバレッジが高いこと自体はリスクではなく、適切なリスク管理と事前のトレード計画があれば効率的に資金を運用できます。