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エンベロープの基礎知識

エンベロープは、移動平均線を中心として、上下に一定の乖離率(または固定幅)で描画される2本の線のことです。「封筒(Envelope)」という名前の通り、ローソク足の値動きを帯状の線で囲むように表示されます。
最初は、エンベロープの特徴やボリンジャーバンドとの違いなどについて見ていきましょう。
エンベロープは移動平均線が生み出す2本の帯
エンベロープは、移動平均線を一定の比率で乖離させた(上下にずらした)2本のラインで構成されます。上のラインを上限線、下のラインを下限線といい、基本的には上下のラインに価格が収まるように設定します。
以下は、実際のチャートにエンベロープと同期間設定の移動平均線(20SMA)を表示させたものです。

上限線と下限線の乖離させる値は自由に設定でき、さらに異なる乖離率のエンベロープを複数表示させることも可能です。エンベロープを表示させることで、現在の価格が本来の移動平均線からどれだけ離れているかを視覚的に把握できるようになります。
エンベロープとボリンジャーバンドの違い
エンベロープはボリンジャーバンドととてもよく似ています。ボリンジャーバンドは、トレードの世界で最も有名なインジケータの1つです。エンベロープとボリンジャーバンドは、どちらも中心線となる移動平均線からの乖離を移動平均線の上下のラインの帯でビジュアル化したインジケータですが、その計算方法が異なります。
ボリンジャーバンドは中心線となる移動平均線からの乖離を標準偏差によって表示します。標準偏差とは、統計学で使用される「平均からのばらつき」です。ボリンジャーバンドは価格が大きく動くときは上下の帯も拡張し、価格が停滞すると上下の帯も収縮します。つまり、帯の幅が固定されていないのです。
これに対してエンベロープは、中心線となる移動平均線から一定の割合で上下に乖離させたものですので、エンベロープの幅は価格の変動に左右されません。常に一定の幅を保ち固定されています。そのためボリンジャーバンドと比較して、価格がどれだけ平均線から乖離しているかを直感的に把握しやすいインジケーターといえます。
また、その乖離の幅も、ボリンジャーバンドは一定(±1σ、±2σ等)ですが、エンベロープは自分の手法に合わせて自由に設定できます。ボリンジャーバンドより計算式が簡単であるがゆえに、エンベロープは初心者にとって見やすく、使いやすいインジケータといえます。
エンベロープから分かる相場状況

そもそも、エンベロープは何を表しているのでしょうか。
FXに限らず、株や仮想通貨などトレードの世界において、価格が大きく動くと移動平均線から乖離します。この価格と移動平均線の距離を「乖離率」といい、多くのトレーダーが注目している指標です。
乖離率が大きければ、多くのトレーダーが、相場が過熱し価格が行き過ぎていると判断し、利確決済や損切決済をします。その結果、移動平均線からある程度乖離した価格は、移動平均線へ回帰するという動きを見せることになります。
この乖離の幅を示したものがエンベロープです。移動平均線から「少し離れた2本のライン」ではなく、移動平均線からの乖離率の幅であることを理解すれば、エンベロープは相場の様々な状況を視覚的に伝えてくれるインジケーターとなるのです。
ここで、エンベロープから分かる4つの相場状況について、実際のチャートを見ながら確認しましょう。
トレンドの方向や状態
エンベロープは、移動平均線と同じ動きをする上下2本の帯で表示されます。移動平均線でもトレンド方向を把握できますが、エンベロープの傾きを見ることでもトレンドを把握することができます。
下のチャートはユーロドルの日足ですが、エンベロープ全体が上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンド、横ばいであればレンジ相場と判断できます。

さらにエンベロープは、乖離率からもトレンド把握に役立つ情報を得られることが大きな特徴です。中心線となる同じ期間設定の移動平均線と合わせて表示することで、より使いやすくなります。
相場の過熱感
ローソク足がエンベロープを突き抜けて推移している場合、相場が過熱していると考えることができます。価格と上限線や下限線との位置関係を見ることで、買われすぎ・売られすぎを分析することが可能です。

トレンド中の押し目・戻り目
上昇トレンド中にローソク足が下限線付近まで下落した場合、押し目買いのポイントとなる可能性があります。同様に、下降トレンド中にローソク足が上限線付近まで上昇した場合、戻り売りのポイントとなる可能性があります。

トレンド転換(終了)の兆候
これまでエンベロープに沿って動いていたローソク足が、反対側のエンベロープを明確にブレイクした場合、トレンドの終了や転換が起こる可能性を示唆することがあります。
相場環境の変化を考慮することで、事前にリスクを把握したり、より優位性のあるトレード計画を立てたりすることができるでしょう。

エンベロープの設定方法
エンベロープは、海外FXで主流のプラットフォームであるMT4 / MT5に標準搭載されており、誰でも無料で利用できます。設定の際は、期間と種類、そして偏差(乖離率)という3つの主要なパラメータを設定することで、その表示と反応を調整することができます。
ここでは、MT4 / MT5でエンベロープを表示・設定する方法を詳しく解説します。
MT4 / MT5でのエンベロープ表示方法
PC版MT5を例に、チャート上にエンベロープを表示させる方法を見ていきます。スマホ・タブレット版MT4 / MT5での表示手順は以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。
スマホ・タブレット版MT4 / MT5でのインジケーターの表示方法を知りたいかたはこちら
MT5を起動したら、上部メニューの「表示」を選び「ナビゲータ」を表示しましょう。
ナビゲータのフォルダツリーから「トレンド」を開き、その中にある「Envelopes」を表示させたいチャートへドラッグ&ドロップします。

エンベロープの設定画面が開くので、項目を入力し「OK」をクリックすると、チャート上へ表示されます。

続いて、各設定項目を詳しく見ていきましょう。
エンベロープの設定①|期間と種類
エンベロープでは移動平均線と同様に、期間と種類の設定を行います。
期間は、短期(20期間程度)、中期(75期間程度)、長期(200期間程度)など、分析する時間軸や取引スタイルによって使い分けられます。短期の期間を設定すると、エンベロープは直近の値動きに敏感に反応し、短期的な売買サインを示しやすくなります。一方で長期の期間を設定すると、より大きなトレンドを把握するのに役立ちます。
また、一般的にエンベロープの計算には単純移動平均線(SMA)が用いられることが多いですが、指数平滑移動平均線(EMA)など、他の種類の移動平均線を使用することも可能です。SMAは直近の価格を均等に重視するのに対し、EMAは直近の価格をより重視する傾向があります。
エンベロープの期間に迷った場合、一般的な移動平均線の設定値である20期間がおすすめです。そのほか、移動平均線と同様にSMAやEMAを設定できるので、ご自身が使っている移動平均線に合わせた設定から試してみると良いでしょう。
エンベロープの設定②|偏差(乖離率)
標準偏差に応じてバンド幅が変化するボリンジャーバンドとは異なり、エンベロープは値動きにフィットするように自動的に乖離率が設定されるわけではありません。トレーダーが自分で設定する必要があります。
そもそもエンベロープで使用される乖離率とは、移動平均線が示しているレートに対する比率のことです。例えば、移動平均線が「100」のレートにあるとき、エンベロープが「1%」なら上限線は「101」、下限線は「99」に引かれます。
そのため、例えばある通貨ペアの日足に設定した乖離率は、同じ通貨ペアでも価格のスケールが異なる1時間足では広すぎてしまいます。また、同じ乖離率をボラティリティの大きいゴールドや仮想通貨で使用した場合、今度は狭すぎるということになるでしょう。
エンベロープの乖離率設定で知っておきたいこと
- エンベロープは移動平均線のレートを基準に描画される
- 同じ銘柄でも時間軸が異なると適切な乖離率は異なる
- 適切な乖離率は銘柄によっても異なる
エンベロープの乖離率を設定するには、過去の値動きを確認しながら、バンド内にだいたいの価格が収まるように調整していく方法がおすすめです。
FX通貨ペアでエンベロープを設定する場合は、時間軸ごとに以下の乖離率を参考にしてみてください。
時間軸ごとのおよその乖離率
| 時間軸 | 乖離率の目安 |
| 日足 | 1.5% |
| 4時間足 | 0.8% |
| 1時間足 | 0.4% |
| 15分足 | 0.1% |
| 5分足 | 0.08% |
| 1分足 | 0.03% |
上記の乖離率はあくまで目安ですので、銘柄や実際の値動きを確認しながら調節する必要があります。
乖離率を小さめに設定すれば、価格の動きにより早く反応することができますが、ダマシも多くなります。反対に、乖離率を大きく設定することでダマシを減らすことができますが、反応が遅くなり、エントリーチャンスは少なくなります。
エンベロープの設定③|乖離率を変えて複数表示
エンベロープは、移動平均線を期間設定を変えて複数表示させるように、乖離率を変えて複数本表示して使う場合があります。その場合は、例えば日足の場合は、基本的な設定として1.5%の乖離率を使用し、外側に乖離率を3%に設定したエンベロープを追加する方法や、1%ずつ増やして複数本を表示させるなどの方法があります。
下図は、USDJPYの日足に乖離率1.5%と3%のエンベロープを表示した例です。

トレンド方向に順張りで追っていくデイトレードやスイングトレードでは、エンベロープを2~3つ表示させ、乖離率の小さいエンベロープを超えたらエントリーするといった手法があります。
スキャルピングの場合は、たとえば「タッチしたらエントリーする」といった瞬間的な判断が求められる場合があります。トレードポイントを明確にするには、エンベロープを複数表示しないほうが効果的なケースもあるため、表示数はトレードスタイルに合わせて使い分けると良いでしょう。
エンベロープを使ったFXトレード手法
エンベロープは、上限線と下限線の傾きによってトレンド状況を判断できるだけでなく、移動平均線からの乖離も視覚的に分かりやすくできるインジケーターです。その特徴を活かすことで、押し目や戻り目を狙う順張り手法に利用できます。さらに相場状況によっては、乖離からの戻しを狙う逆張りにも活用可能です。
押し目・戻り目を狙う順張り手法
まずは、エンベロープを使ったトレンドフォロー手法を見ていきましょう。この手法は、スキャルピングやデイトレードに活用しやすい手法となっています。
下図はUSDJPYの5分足です。20SMAと乖離率0.1%のエンベロープに加えて、長期的なトレンドを把握するために200EMA(緑)を補助的に表示しています。また、エントリーが考えられるポイントには丸印をつけています。

エンベロープ順張り手法の基本的なポイントは、以下の通りです。
エンベロープ順張り手法 基本的なポイント(買いの場合)
- 長期的なトレンド方向にのみ仕掛ける
- 下限線にタッチしたら買いエントリー
- 勢いよく下限線を抜けた場合は、再度上抜けしたところでエントリー
- 下限線から反発しなさそうな場合は一旦損切り
- 上限線にタッチしたら利確
エンベロープを使った手法で気をつけたいのが、乖離率の設定です。乖離率を広めに設定すると、エンベロープにタッチしなくなり、エントリーポイントを減らしてしまいます。だからといって乖離率を狭く設定すると、ダマシにあう確率が増えてしまいます。
エンベロープの乖離率は、自分のトレード通貨や時間足に合わせて調整が必要な上、相場状況やボラティリティによっては設定値が合わなくなることもあります。値動きとエンベロープが噛み合わない場合は、エンベロープの中に値動きがだいたい収まるように、設定値を調整してみましょう。
レンジ相場を狙う逆張り手法
移動平均線との乖離を示すエンベロープは、レンジ相場での逆張り手法にも有効です。
下図はEURUSDの5分足です。20SMAと乖離率0.05%のエンベロープに加えて、長期的なトレンドを把握するために200EMA(緑)を補助的に表示しています。また、エントリーが考えられるポイントには丸印をつけています。

チャート中央部で、エンベロープと長期移動平均線が横ばいであることから、短期的な保ち合いが発生していると捉えられます。
レンジ相場であることを確認したら、上の図のように、エンベロープの上限線や下限線からの反発を確認してポジションを持つことができます。
利確方法としては、例えば反対側のエンベロープや移動平均線に到達したときが目安になるでしょう。また損切りは、エントリーした次の足で反転するなどして、エンベロープからの反発が確認できなかった場合に行う方法があります。
他のインジケータとの併用
エンベロープは、中心線に同じ設定値の移動平均線を同時に表示させるため、基本的には移動平均線との併用になります。
それ以外のインジケーターとしては、期間設定の異なる移動平均線や、サブウィンドウに表示するMACDなどのオシレーター系インジケーターとの併用がおすすめです。
トレンド状況やエントリータイミングの両面から相場状況を判断することで、より精度の高いトレードを目指せるでしょう。
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エンベロープを活用しトレードチャンスを広げよう
エンベロープは、誰もが知っている移動平均線とその乖離率を組み合わせた、利用場面の広いインジケータです。トレンドフォローの順張りだけでなく、レンジ相場での順張り逆張りや、スキャルピングにも対応できます。
エンベロープ単体ではなく、他のインジケータと併用することでより分析の精度を上げられるでしょう。この記事を参考に、ぜひご自身のトレードにエンベロープを活用してみてください。


























































